アルゼンチン連邦裁判所、ミームコイン「LIBRA」事件で米実業家らの資産を凍結=報道

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NewEconomy JP 2 hours ago 125

「LIBRA」詐欺疑惑で捜査拡大

アルゼンチン連邦裁判所が、暗号資産(仮想通貨)プロジェクト「リブラ(LIBRA)」をめぐる詐欺容疑の捜査の一環として、米国の実業家ヘイデン・デイビス(Hayden Davis)氏および関係者2名の資産を凍結した。現地紙の「ラ・ナシオン(LA NACION)」が11月8日に報じた。

捜査当局によると、被害総額は1億〜1億2,000万ドル(約154.6億〜約185.5億円)にのぼる可能性があるという。

本件を担当するマルセロ・マルティネス・デ・ジョルジ(Marcelo Martínez de Giorgi)連邦判事は、「現状変更禁止命令(prohibición de innovar)」と呼ばれる措置を発令。これは、捜査対象者が資産を処分できないようにするための仮差押え命令であり、期限は無期限だ。ジョルジ判事は、凍結命令を国家証券委員会(CNV)に通知。暗号資産サービス事業者(PSAV)を通じ、国内で活動する全プラットフォームに対しても凍結対象者の口座をブロックするよう求めている。この措置の対象となったのは、デイビス氏のほか、コロンビア国籍のファビオ・カミロ・ロドリゲス・ブランコ(Favio Camilo Rodríguez Blanco)氏、アルゼンチン国籍のオルランド・ロドルフォ・メリーノ(Orlando Rodolfo Mellino)氏だ。

ロドリゲス・ブランコ氏とメリーノ氏は、暗号資産の現金化の仲介者として活動していた疑いが持たれている。

捜査資料によると、デイビス氏はLIBRA事件に関与した、アルゼンチン国籍のマウリシオ・ノベリ(Mauricio Novelli)氏およびマヌエル・テロネス・ゴドイ(Manuel Terrones Godoy)氏と協力関係にあり、彼らの間では、疑わしい資金の流れの一部である数百万ドル規模の暗号資産の送金が行われていたという。

また、アルゼンチン大統領ハビエル・ミレイ(Javier Milei)氏との接点も浮上している。

検察は、2025年1月30日にミレイ大統領がデイビス氏とのツーショットをSNSに投稿した直後、デイビス氏が暗号資産取引所ビットゲット(Bitget)を通じて507,500ドル(約7,846万円)を送金していたことを突き止めている。送金のタイミングが極めて近接していたことから、検察は「公職者への間接的な支払いの可能性」を示唆してており、仲介業者は資金の追跡を困難にし、最終的な受取人を隠すための「法定通貨の出口」として機能していたと指摘している。

また、ノベリ氏はミレイ大統領とともに、双方に数百万ドルの利益をもたらすために「大統領のイメージを収益化する(monetizar la imagen del Presidente)」構想を議論していたという。

この事件は国境を越えて波紋を広げている。米ニューヨークでは、被害者がデイビス氏および関連企業「メテオラ(Meteora)」、そしてその創設者であるベンジャミン・チョウ(Benjamin Chow)氏を相手取り、集団訴訟(クラスアクション)を起こした。

原告側は、LIBRAなど一連のプロジェクトが、計画的な「ラグプル:だまし討ち(rug pull)」であり、組織的詐欺にあたると主張。訴訟では組織犯罪を罰する米国の「RICO法(反組織犯罪法)」の適用も求められており、国際的な暗号資産詐欺として注目を集める可能性があるという。

今回の措置は、すでに同事件で訴追されているノベリ氏とテロネス・ゴドイ氏への資産凍結に続くものであり、アルゼンチン司法が暗号資産を利用した資金洗浄・詐欺事件への対応を強化していることを示している。

ミームコイン「LIBRA」騒動について

この騒動は、ミレイ大統領が今年2月に自身のXにて、LIBRAのローンチを紹介したことに端を発している。

この当時の投稿を受け、LIBRAは一時的に価格が急騰。しかしその後、数時間以内に急落した。

アルゼンチンのフィンテック協会はこの件が、暗号資産の開発者が合法的な投資を引き付け、価値を高めた後、後に持ち分を投げ売りする「ラグプル」となる可能性があると指摘。

ミレイ大統領は後日、「プロジェクトの詳細は知らなかったが、問題が発覚した後は投稿を削除し、今後は一切関与しないことを決めた」と説明し、自身とLIBRAとの関係を否定した。該当のX投稿は数時間表示されたのち削除された。

アルゼンチンの汚職防止局は6月、大統領がLIBRAの宣伝を行ったことについて、大統領としてのいかなる義務にも違反していないと決議している。

これは、ミレイ大統領がXでLIBRAのローンチを紹介した際は、個人の資格で行動していたため、アルゼンチンの公務員に対する連邦倫理法に違反していないと判断されたためだ。

また、この騒動に公的資金が使われていないこと、ミレイ大統領が、大統領就任前からXにて自身の意見を発信してきたことなどもこの決議を後押しする材料となった。

なおアルゼンチン政府は5月、LIBRAに関する調査タスクフォース(UTI)の解散を報告。

この騒動に関連し、アルゼンチンの連邦判事マリア・セルビニ(María Servini)氏は、中央銀行に対し、ミレイ大統領およびその妹カリナ・ミレイ(Karina Milei)氏の2023年以降の銀行取引記録の開示を命じている。

参考:LA NACION
画像:PIXTA

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