再編進む中で新方針打ち出す

イーサリアム財団（Ethereum Foundation：EF）が、エコシステムサポートプログラム（ESP）の新規助成プログラムを11月3日に発表した。これは、8月に公開助成金の申請受付を一時停止して以来の動きとなる。

EFはこの期間中、イーサリアムの成長に合わせて進化する、より的を絞った・影響力のある・持続可能な助成モデルの設計に注力していた。今回の新モデルは、従来の反応的なアプローチから、より戦略的かつ積極的な支援モデルへの転換を図るものだ。

小規模チームが多数の申請対応に追われることで、戦略的機会の追求が難しかった従来の課題を解消し、EF内の他チームと緊密に連携することで、資金提供がエコシステムの優先課題に沿い、有意義なインパクトを生み出す方針に改めた。

新たな助成プログラムは、「ウィッシュリスト（Wishlist）」と「提案募集（Requests for Proposals：RFP）」の2つの経路で構成されている。

ウィッシュリストは、エコシステム内で重要なギャップや発展の機会があるとEFが見ている広範な分野を概説するものだ。特定のプロジェクトではなく、大きなテーマや高レベルな目標を掲げ、ビルダーが自らのアイデアや多様なアプローチを通じてそれらの課題に取り組むよう呼びかけている。

RFPでは、特定の課題や機会に対して明確な成果やアウトプットを求める。スコープや要件、成果物などがあらかじめ定義され、応募期間やプロジェクト期間も設定されている。より指示的かつ期限のある取り組みとなる。

RFPの公式サイトでは、すでに最初のウィッシュリスト項目とRFPが公開されている。暗号技術、プライバシー、アプリケーションレイヤー、セキュリティ、コミュニティ成長など、複数の重要分野が対象で、ビルダーに多様な貢献機会が提供されている。

また、プロジェクトアイデアがウィッシュリストやRFPのどちらに適合するかわからない場合は、ESPチームがサポートするセッション「オフィスアワー」を通じたフィードバックを受けられる。ウィッシュリストやRFPの内容は、エコシステムの変化に応じて随時追加・更新される予定だ。

ESPチームは今後もEF全体で助成活動を調整し、資金提供の整合性と効果を高めるとともに、資金提供者の体験向上にも注力する。支援期間中には、ガイダンスの提供やコミュニティ内での連携促進、成果からの知見共有などを通じて、助成プログラムの質を高めていくという。

なお、EFは現在、組織全体の再編に取り組んでいる。

EFは7月、エコシステム開発（EcoDev）部門の大規模な再編を発表。「イーサリアムの利用者数の最大化」と「インフラの回復力の強化」という2つの主要目標を掲げ、組織体制を刷新していた。

さらに9月には、AIとブロックチェーンを組み合わせた技術研究を加速するため、新チーム「dAI」を設立。コア開発者のダビデ・クラピス（Davide Crapis）氏が率いており、AI分野への本格的な取り組みが始まった。

さらに同月、世界中のイーサリアムコミュニティを結びつける取り組み「イーサリアム・エブリウェア（Ethereum Everywhere）」も始動。グローバルな開発者・コミュニティの連携強化を進めている。

10月には、イーサリアムにおけるプライバシー保護機能の研究開発体制を強化するため、新組織「プライバシー・クラスター（Privacy Cluster）」を設立している。

参考：発表・RFP
画像：Ethereum

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