イーサリアム次期ハードフォーク「Fusaka」の詳細発表
イーサリアム(Ethereum)のコア開発者らが、次期大型アップグレード「フサカ(Fusaka)」を暫定的に11月にリリースすることを決定したと7月21日に発表した。同アップグレードは、ネットワークの効率性とスケーラビリティの向上を目的としており、ブロックチェーンのハードフォークを伴うものとなる。
フサカでは、11のイーサリアム改善提案(EIP)が含まれる予定で、7月24日に次期開発者向けネットワーク(devnet)が稼働開始される。さらに9月下旬には最初のパブリックテストネットの立ち上げが予定されており、10月にもう一つのテストネットでの立ち上げが続く見通しだ。
含まれる提案の一つには「EIP-7825」があり、これは悪意のある攻撃に対するネットワークの耐性を向上させると同時にスケーリングを図るものとなる。またイーサリアムのコア開発者らは、ガスリミットを1億5,000万まで引き上げることも提案している。
ガスリミットとは、イーサリアム上の単一ブロックに含められる計算作業(ガス単位で測定)の上限のことで、これを引き上げるとより多くのトランザクションや複雑なスマートコントラクト実行をブロックに含めることが可能になる。
なおテストプロセスの高速化のため、コントラクトコードサイズの上限を2倍にし、ガスメータリングを導入する「EIP-7907」は同アップグレードからは削除された。また論争の的となっていた「EVM Object Format」アップグレードもフサカには含まれないことが4月に明らかにされている。
またフサカの次に計画されている「グラムステルダム(Glamsterdam)」ハードフォークに含まれる機能アップグレードについては、8月1日の「AllCoreDevs – Execution」会議で確定される予定で、グラムステルダムについては2026年頃のリリースが予定されている。
ガスリミットが45Mに引き上げか
一方、イーサリアムのバリデーターらは現在、ネットワークのガスリミットを4,500万に引き上げることへの支持を示している。
イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は7月21日、「ステークされたETH ($4,386.04)のほぼ50%がL1ガスリミットを4500万に引き上げることに投票している」と発表した。
ガスリミットの引き上げは、取引手数料の削減とネットワークスケーラビリティの向上を目的としている。現在のガスリミットは2月に3,600万に設定されており、2021年以来初めての引き上げとなっていた。今回の4,500万への引き上げが実現すれば、ハードフォークを必要とせずに実装される見通しだ。
イーサリアム財団のDevOpsエンジニアであるパリトシュ・ジャヤントリ(Parithosh Jayanthri)氏は、「現在は4,500万を目標としているが、その後すぐにより高い値を計画している。今後数年間で多くのことが計画されている」とコメントしている。
またイーサリアムのコア開発者バルナベ・モノ(Barnabé Monnot)氏は、現在12秒のブロック時間を6秒に短縮することを提案している。これによりユーザーエクスペリエンスが大幅に改善され、DeFi(分散型金融)アプリケーションがより効率的になるとしている。この提案が承認されれば、グラムステルダムで実装される予定だ。
参考:イーサリアム
画像:iStocks/ra2studio
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