
今週もSBI VCトレード提供の暗号資産(仮想通貨)に関するウィークリー・マーケットレポートをお届けします。
8/17~8/23週のサマリー
- SBI VCトレードとRippleが「RLUSD ($1.00)」の発行に合意
- ジャクソンホール会合にてパウエルFRB議長が雇用に対する下振れリスクを指摘
- イーサリアムが円建て・ドル建て両方で史上最高値を更新
- 現物ETFでBTC ($87,474.00)とETH ($2,896.25)が週次基準、約11億ドルと約5億ドルの純流出
暗号資産市場概況
8/17~8/23週におけるBTC/JPYの週足終値は前週比▲2.50%の16,875,450円、ETH/JPYの週足終値は同+7.27%の696,860円であった(※終値は8/23の当社現物EOD[8/24 6:59:59]レートMid値)。
先週の暗号資産市場は、金曜日のジャクソンホール会合を控えた利益確定売りが優勢となった。しかし、同会合でパウエル米連邦準備制度理事会(以下、FRB)議長が市場予想に反して労働市場の下方リスクを指摘したことから、9月の利下げ期待が高まり、主要株価指数とともに反発する展開となった。
ビットコインおよびイーサリアムの現物ETFは週次で純流出を記録し、特に米国時間19日には株式市場の下落に連動した形で大幅な売りが確認された。これは、FRB当局者の間で利下げを巡る見解が分かれていたことや、トランプ米大統領による利下げ圧力の高まりを背景に、市場参加者がジャクソンホールでのパウエル議長の発言を注視していたことが影響したとみられる。
パウエル議長は講演で「雇用者数の伸びが大幅に下方修正され、労働市場の下振れリスクが拡大している」と述べた。この発言が9月の利下げ期待を意識させ、暗号資産や株式市場は反発し、米国債利回りは低下した。この局面でビットコインは4%超上昇し、週初に割り込んだ117,000ドルを回復した。イーサリアムは円建て・ドル建てともに史上最高値(以下、ATH ($0.02))を更新した。イーサリアムは年初来リターンで40%超、ビットコインを20%以上アウトパフォームしており、4月初旬の1,300ドル台から約240%の上昇となっている。
一方、オンチェーンデータから見ると、今回のATH時には過去と異なる様相を示している。結論的には、今回のATH時には前回ATH時と比べ利益確定の強さが相対的に弱く、未実現損益も高水準とは言い難い。下段のチャート[2019年以降のイーサリアム利益確定取引量、MVRV、価格推移]は、「Volatility Adjusted Net Realized Profit/Loss(以下、VANRPL)」および「Market Value/Realized Value(MVRV)」を用いて利益確定の強さと未実現損益規模を分析したものである。利益確定の強さを表すVANRPL(橙のバー)は21年ATH時の約9分の1にとどまっており、MVRV(赤・青のバー)もプラス圏ながら同時期の60%水準にとどまった。
これらの対照的なデータから、今回のATH時には既存保有者による売り圧力が限定的であったと解釈できる。加えて、ステーキングされたイーサリアムが即時に引き出せない点により売り圧力として働いていない可能性もあり、次回のATH時におけるデータを確認したいところだ。
来週は米国の第2四半期GDP(改定値)およびコアPCEが発表予定である。9月のFOMCを前に経済指標への注目度が高まっており、直近の雇用データ改定でも大幅な修正が行われたことから、市場は一段と神経質になっている。引き続き、リスク管理を徹底した取引姿勢が求められる。
1) BTC/USD週間チャート(30分足)
TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成2) BTC/JPY週間チャート(30分足)
TradingView提供のチャートにてSBI VCトレード株式会社 市場オペレーション部作成3) 2019年からのイーサリアムの利益確定取引量およびMVRV、価格推移
(橙のバーがボラティリティ調整後の実現済み損益/黒線がイーサリアム価格/赤・青のバーがMVRV)Glassnode提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成4) ビットコイン現物ETFの資金流入出と運用資産残高合計、ビットコイン価格
(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 橙線がビットコイン価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成5)イーサリアム現物ETFの資金流入出と運用資産残高合計、イーサリアム価格
(緑・赤のバーが資金流入出 / 白線が運用資産残高合計/ 青線がイーサリアム価格)SoSoValue提供のチャートより SBI VC トレード株式会社 市場オペレーション部作成
8/17~8/23週の主な出来事
8/24~8/30週の主な予定

【今週のひとこと】 「Ripple USD(RLUSD)」の国内流通
リップル社(以下、Ripple)とSBI VCトレード社(以下、SBI)は2025年8月22日、日本市場における米ドル連動型ステーブルコイン「Ripple USD(以下、RLUSD)」の流通に関する覚書を締結したと発表しました。RLUSDの取扱が開始されれば、USDC ($1.00)に次いで国内で2番目の上場および流通されるドル建てステーブルコインになる見込みです。両社は国内の制度環境に準拠しつつ、規制当局との調整を進めながらプロジェクトを推進する方針を示しました。
RLUSDは、米ドル預金、米国短期国債、その他の現金同等物を裏付けとするステーブルコインで、第三者会計事務所による月次の準備金証明が行われています。リップル社は、この仕組みにより透明性を確保し、規制遵守と信頼性を重視した運用を目指すと強調しました。
RippleとSBIは、これまで国際送金分野などでパートナーシップを築いてきました。今回のRLUSD流通計画は、その戦略的パートナーシップを一層拡大するもので、日本市場におけるステーブルコインの普及促進に向けた新たな動きとして位置付けられます。発表資料によれば今年度内の取扱開始を目指しており、今後の進捗が注目されます。
このレポートについて
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