テラ・ルナショックめぐり創業者ド・クォンに懲役15年、「史上まれな規模の詐欺」

Source of this Article
NewEconomy JP 2 hours ago 119

テラ創業者ド・クォンに懲役15年

2022年に推定400億ドル(当時のレートで約5兆1,500億円)規模の損失を出したとされる2つのデジタル資産を手掛けた韓国の起業家ド・クォン(Do Kwon)被告に対し、米連邦地裁は12月11日に懲役15年の判決を言い渡した。裁判官はこの事件を「桁外れの詐欺(epic fraud)」と非難した。

判決を下した米連邦地裁判事ポール・A・エンゲルメイヤー(Paul A. Engelmayer)判事は公判で、クォン被告が自らを信頼して全財産を預けた一般投資家に繰り返し虚偽を述べてきたとして、厳しく断罪した。

「これは文字通り世代をまたぐ規模の詐欺だ。連邦検察の歴史の中でも、あなたほど甚大な被害をもたらした詐欺事件は稀である」とエンゲルメイヤー判事は、ニューヨーク・マンハッタンの連邦地裁での審理中に述べた。

34歳のクォン被告は、シンガポール拠点のテラフォームラボ(Terraform Labs)を共同創業し、ステーブルコイン「テラUSD(UST)」と暗号資産「ルナ(LUNA)」を開発した人物である。同被告はこれまでの審理で有罪を認め、暗号資産(仮想通貨)市場のボラティリティが高まった局面でも価格が安定して推移するとされていた通貨について、投資家を欺いたことを認めている。

クォン被告は、2022年の暗号資産価格暴落が複数の企業破綻を引き起こした一連の事件を受けて連邦当局から起訴された、暗号資産業界の有力者のひとりでもある。

この日の公判で、黄色い囚人服を着たクォン被告は、何百人もの被害者が裁判所に提出した被害の実態を訴える書簡に言及しながら、自らの行為を謝罪した。

「それぞれの手紙に綴られた体験はどれも痛ましいもので、私が引き起こした多大な損失を改めて思い知らされた。被害者の皆さんに、申し訳なく思っていると伝えたい」とクォン被告は述べた。

裁判所に書簡を提出した被害者の一人であるアイイルディズ・アッティラ(Ayyildiz Attila)氏は、この崩壊によって40万〜50万ドル(現在のレートで約6,200万〜7,800万円)の損失を被ったと説明した。

「私の貯蓄も、将来も、長年の犠牲の結果手にしたものも、すべて消え去った。支払い義務や日々の責任を果たすのに苦しみ、それまで築いてきたものはすべて帳消しになってしまった」とアッティラ氏は語った。

クォン被告の弁護人であるショーン・ヘッカー(Sean Hecker)弁護士は、判決後に送付したメールの中で、クォン被告は心からの言葉で謝罪し、真摯な反省を示したと述べたうえで、今後も償いの努力を続けていくとコメントした。

一方、ニューヨーク・マンハッタンの米連邦検事ジェイ・クレイトン(Jay Clayton)氏は、審理後の声明で、クォン被告が自身の暗号資産の価値をつり上げるために巧妙なスキームを構築し、その違法行為が露見すると責任追及から逃れようと国外逃亡したと非難した。

検察側は、クォン被告が手がけたUSTの崩壊によって数十億ドル規模の損失が生じ、暗号資産市場全体で連鎖的な危機を引き起こしたとして、少なくとも懲役12年以上の量刑を求めていた。

これに対し弁護側は、クォン被告が韓国での刑事訴追に向き合うためにも、5年を超えない刑期とするよう裁判所に求めていた。

検察当局は今年1月、クォン被告を証券詐欺、電信詐欺、商品取引詐欺、マネーロンダリング共謀など計9件の罪で起訴した。

起訴状によると、クォン被告は2021年、1ドルの価値を維持するよう設計されたステーブルコイン「UST」について投資家を欺いたとされる。検察側は、USTが2021年5月に1ドルのペッグを割り込んだ際、クォン被告が、テラのアルゴリズム「テラプロトコル(Terra Protocol)」が価値を回復させたと投資家に説明したと主張している。

しかし実際には、クォン被告が高頻度取引会社に依頼し、トークンを秘密裏に数百万ドル相当購入させることで価格を人為的に支えたとされている。 ・クォン被告はその後、今年8月に共謀詐欺および電信詐欺の2件について有罪を認め、公判の場で自らの行為を謝罪した。 ・「ペッグが回復した理由について、高頻度取引会社がペッグ回復に果たした役割を開示しなかったことで、虚偽かつ誤解を招く説明をしてしまった。自分の行為は誤りだった」と当時、クォン被告は述べている。

またクォン被告は2024年、米証券取引委員会(SEC)との間で、民事制裁金として8,000万ドル(約124億円)を支払い、テラフォームラボとともに締結した総額45億5,000万ドル(約7,080億円)規模の和解の一環として、暗号資産取引への関与を禁止されることに合意している。

クォン被告は韓国でも刑事訴追を受けている。今回の有罪答弁に基づく司法取引の条件として、同被告が米国での刑期の半分を務めた後に韓国など海外への移送申請を行う場合、検察側はこれに異議を唱えないとされている。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
TerraUSD creator Do Kwon sentenced to 15 years over $40 billion crypto collapse
(Reporting by Jack Queen in New York; Editing by Noleen Walder, Daniel Wallis and Tom Hogue)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

関連ニュース

  • テラ創業者ド・クォン、米国で詐欺罪を認める、最長25年の禁錮刑
  • 米SEC、破産したテラフォームラボと44.7億ドルで民事和解
  • テラフォームラボとド・クォン、SEC民事詐欺事件の和解に合意
  • 米SEC、テラフォームラボと創業者に約53億ドルの支払い命じる
  • テラ創設者ド・クオン、上訴に勝利で米国送致が再度却下


Facebook X WhatsApp LinkedIn Pinterest Telegram Print Icon


BitRss shares this Content always with Attribution-NonCommercial-ShareAlike 4.0 International (CC BY-NC-SA 4.0) License.

Read Entire Article


Screenshot generated in real time with SneakPeek Suite

BitRss World Crypto News | Market BitRss | Short Urls
Design By New Web | ScriptNet