トヨタ・ブロックチェーン・ラボ、モビリティエコシステム統合のブロックチェーンプロトコル「MON」のテックペーパー公開、アバラボとTIS支援

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NewEconomy JP 2 months ago 160

MONで組織・業界・国家間の断絶解決を目指す

トヨタ・ブロックチェーン・ラボが、モビリティエコシステムに信頼を編み込むブロックチェーンレイヤー「MON(Mobility Orchestration Network)」のコンセプトを8月20日に発表した。

MONは、車両の登録・保険・税金・整備・監査などの複数主体による関係性をデジタル化し、モビリティアセットの価値流通を促進することを目的としている。

なおトヨタ・ブロックチェーン・ラボは、レイヤー1ブロックチェーン「アバランチ(Avalanche)」開発元のアバラボ(AvaLabs)およびTISインテックグループのTISより技術的サポートを受け、このプロトコルを開発している。今後は多様なネットワークとの接続、技術的選択肢の拡大、標準化コミュニティへの貢献を通じて、MONのコンセプトの具体化を進めるとしている。

トヨタ・ブロックチェーン・ラボによると、現在のモビリティエコシステムは「組織の断絶」「業界の断絶」「国家の断絶」という3つの構造的課題に直面しているという。「組織の断絶」は、車両登録情報や車両データが政府や事業者単位で分断され、統合的な価値評価が困難となっている課題。「業界の断絶」は、複数のプレイヤーが継続的に連携するためのオープンで相互運用可能なネットワークが存在しない課題。「国家の断絶」は国・地域で登録や税制、保険制度が異なり、単一の登録証明では越境的な正当性を担保できない状況にあるという課題だ。

MONはこれらの課題を解決するため、3つのブリッジ機能を提供するという。

「MON Bridge 1:信頼を束ねる」では、制度的証明(車両登録・所有権記録・税金や保険のコンプライアンス状況)、技術的証明(VINと型式認定・OEM製造データ・センサーの健全性・ソフトウェア/ファームウェアのアテステーション・検証済み整備イベント)、経済的証明(利用稼働指標・収益実績・メンテナンス修理履歴)をトラストチェーンの束として統合する。

「MON Bridge 2:価値循環を始動する」では、確立されたトラストを基に、アセット・ファイナンス・サービスの3つの業界をなめらかに接続する。MONは自らはアセットとトラストに特化し、既存の証券・決済・保険・融資・モビリティサービスなど複数の異なるネットワークと相互運用される前提で設計されている。これにより、Trust Network(MON)、Capital Network(融資・投資・証券化を担う専門ネットワーク)、Utility Network(モビリティの実際の運用を担当)の3種類のネットワークが価値循環を形成するとのことだ。

そして「MON Bridge 3:エコシステムを繋ぐ」では、ローカルに存在する多様なエコシステムを破壊することなく、グローバルな価値流通を実現する。MONは単一のグローバルプラットフォームではなく、共通のルールセットである「プロトコル」として設計されており、各地域には独自の法制度、金融ネットワーク、文化に根差したサービスを尊重しつつ、共通プロトコルという「トラストの共通言語」で相互連携を可能にするという。

プロトタイプアーキテクチャは、Avalanche L1 Blockchain、Interchain Messaging Protocol、Identity Service、Trust Gatewayの4つのコンポーネントから構成されるとのこと。アバランチ上に役割の異なる4つのL1を展開することで、L1-A(STネットワーク)がセキュリティトークンの発行・管理、L1-B(MON)がモビリティアセットの権利関係管理、L1-C(ユーティリティネットワーク)がモビリティサービスの利用や権限管理、L1-D(ステーブルコインネットワーク)が決済用ステーブルコインの管理を担当する。

スマートコントラクト設計では、MobilityOrientedAccount、VehicleOwnership、AssetPortfolioの3つのコアコントラクトが階層的なアーキテクチャを形成する。MOAはERC-4337準拠のスマートアカウントとしてERC-6551によりVehicleOwnership NFT ($0.00)に恒久バインドされ、ERC-7579によるモジュラー設計で拡張性を確保している。VehicleOwnershipはERC-721トークンとして車両の所有権を表現し、AssetPortfolioはERC-7401によりVehicleOwnership NFTを束ねる親NFTとして機能するとのことだ。

想定されるユースケースとして、新興国向けのBEV普及、地域へのロボタクシー導入、BEVフリートの蓄電価値の収益化、物流の効率化とグリーントランスフォーメーションの4つのケースが示されている。

これらのケースでは、MONがモビリティの制度・技術・経済的な要求を統合し、透明性の高い投資対象として提示することで、国際的な資金調達と価値流通を促進する役割を果たすとのことだ。 

なぜToyota Blockchain Labは、車両ファイナンスとモビリティのプロトタイプをAvalanche 🔺で構築したのか?

他のEVMチェーン = 単一のL1
Avalanche = 無限のL1 pic.twitter.com/anXX2Uk8zF

— Avalanche JAPAN 🔺🇯🇵 (@avalanchejp) August 20, 2025

参考:トヨタ・ブロックチェーン・ラボ
画像:PIXTA

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