ブラジル政府、暗号資産の国際決済にIOF課税検討

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NewEconomy JP 2 hours ago 126

ブラジル政府が暗号資産の国際決済にIOF課税検討

ブラジル政府は、国際決済における暗号資産(仮想通貨)の利用に課税する方針を検討している。協議の内容を直接把握する当局者2人が「ロイター(Reuters)」に語ったもので、同国の通常の外国為替取引への課税に存在していた抜け穴を塞ぐ狙いだという。

機密協議について匿名を条件に語ったうちの1人によれば、ブラジル財務省(Finance Ministry)は、今月11月にブラジル中央銀行が外国為替取引に分類したバーチャルアセットやステーブルコインを用いた一部の国境をまたぐ送金に対し、金融取引税(IOF)の適用範囲拡大を検討しているという。

現在同国では、暗号資産取引にはIOFは課されていない。一方で投資家は、月次の非課税枠を超える暗号資産からのキャピタルゲインについては所得税を支払う必要がある。

財務省はこの件に関するコメントを控えた。

税収拡大につながる可能性

2人の当局者はいずれも、今回の動きは規制上の抜け穴を塞ぐことを目的としたものだと強調したが、その結果として、財政目標の達成に苦慮するブラジルで厳しい目が向けられている公的歳入の増加につながる可能性もある。

近年、ブラジルの暗号資産市場は拡大が続いており、その原動力となっているのは、米ドルなどの資産を裏付けとし、他の暗号資産に比べて価格変動が小さいステーブルコインの利用である。

連邦税務当局のデータによると、ラテンアメリカ最大の経済規模を持つブラジルにおける暗号資産取引額は、2025年上半期に2,270億レアル(約428億ドル、約6兆7,400億円)に達し、前年同期比で20%増加した。

その取引額の3分の2は、テザー(Tether)社が発行するドル連動型ステーブルコイン「USDT ($1.00)」の売買だった。これに対し、価格変動するビットコイン(Bitcoin)のシェアは、取引全体のわずか11%にとどまった。

別の関係者によると、ブラジル中央銀行は、新たな規制枠組みを整備することでこうした課税変更への道筋をつけた。ブラジルではステーブルコインが主に、ドル残高を低コストで保有する手段として使われているとの認識に基づくものだという。

この関係者は、新ルールについて「ステーブルコインの利用が、従来型の外国為替市場との関係で規制裁定取引(アービトラージ)を生じさせないよう保証するものだ」と述べた。

ブラジル当局は以前から、ステーブルコインが主に投資ではなく決済手段として利用されており、規制の空白の中でマネーロンダリングの新たな経路になっていると警告してきた。

規則は2月に発効

2026年2月に施行されるブラジル中央銀行の規則の下では、ステーブルコインの購入・売却・交換はすべて外国為替取引として扱われる。

この分類は、バーチャルアセットを用いた国際送金や決済、カード取引やその他の電子決済によって生じた債務履行、セルフカストディ(自己管理型)ウォレットとの間での資産移転にも適用される。

一人目の関係者は、政府がこの問題を「慎重に」検討していると述べたうえで、中央銀行の新たな定義は自動的に課税義務を発生させるものではなく、実際の課税はブラジル連邦税務当局による別途の指針に左右されると指摘した。

ブラジルの税務当局は11月17日、ブラジルで事業を行う海外サービスプロバイダーも対象に含める形で、暗号資産取引に関する報告義務の範囲を拡大した。

連邦警察当局者は、IOF課税の対象となる暗号資産取引の可視性が高まれば、他の輸入関連税を課すことも容易になると述べた。

「機械や原材料などを輸入するときに、20%だけを正式に申告し、残りの80%を関税を払わずにUSDTで送金してしまえば、IOFどころの話ではない」と、この当局者は述べた。そのうえで、暗号資産による送金を使って課税を回避する輸入取引により、政府は年間300億ドル(約4兆7,300億円)を超える税収を取り逃がすと推計した。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Exclusive-Brazil eyes taxing crypto for cross-border payments, sources say
(Reporting by Marcela Ayres and Bernardo CaramEditing by Brad Haynes and Rod Nickel)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:PIXTA

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