純資産は5,300億円超に

国内上場企業で最もビットコインを保有し、ビットコインによる財務戦略を進めるメタプラネットが、2025年12月期第3四半期の連結決算を11月13日に発表した。

売上高は45億1,700万円（前年同期比1,702.1%増）、営業利益は27億4,800万円（前年同期は営業損失1億8,300万円）と黒字転換。経常利益は232億2,900万円（前年同期は経常損失3億1,100万円）、親会社株主に帰属する四半期純利益は135億2,800万円（前年同期は純損失3億2,100万円）となった。

同社によると、ビットコイン関連事業を中心とした事業戦略が功を奏した結果だという。特にビットコイン価格の上昇に伴い、営業外収益として206億4,400万円のビットコイン評価益を計上したことが利益押し上げに寄与した。

総資産は5,507億円、純資産は5,329億円と、前期末303億円比で大幅増。うちビットコイン関連資産は約5,427億円を占める。純資産の急増は、主に新株予約権の行使等による資本増強によるものとされる。

同社のBTC ($95,776.00)保有量は30,823BTCで取得総額は4,899億円に達し、世界第4位・アジア第1位のBTCトレジャリー企業としての地位を確立した。なおこれは、同社の2025年度の目標である30,000BTCを突破した格好となる。

そして、完全希薄化後1株当たりBTC保有量は0.0214885BTCと、前年末比で約6倍超に拡大した。

この成長は主力の「ビットコイン・インカム事業」に支えられており、BTCオプションプレミアム収入が第2四半期の11.3億円から第3四半期に23億円へと大幅増となった。評価替えによる未実現ビットコイン評価益（106.1億円）はコア損益見通しに含めない方針も明記されている。

メタプラネットは、インカム事業で得た収益を将来の永久型優先株式（Metaplanet Prefs）の配当原資とし、余剰キャッシュフローはBTCの追加取得と戦略の成長加速に再投資する方針を示している。

また、2025年10月に公表した「キャピタル・アロケーション・ポリシー」では、BTCを裏付けとした「デジタル・クレジット（Digital Credit）」構想を掲げ、「BTCイールド（1株あたりのBTC保有量増加率）」の最大化を目指すとしている。

A種・B種の2種類の永久型優先株式はすでに発行登録を完了しており、発行残高はBTC NAV（ビットコイン純資産価値）の25％を上限とする保守的な資本方針を採用。リファイナンスリスクを極小化し、普通株の希薄化を伴わずにBTC保有を拡大する仕組みを構築している。なお、この2種類の永久型優先株式は、現時点では未発行だ。

同社は、BTCを裏付けとした日本初の「デジタル・クレジット市場」を創出し、国内外の利回り需要に応える新しい金融モデルを志向。2027年までにビットコイン供給量の約1%にあたる、21万BTCを保有するという長期目標を掲げている。

さらに、10月28日付で自己株式取得枠を新設し、BTCを担保とした最大5億ドルのクレジット・ファシリティ契約を締結。追加のBTC取得や自己株式買付に活用する計画も進めている。

また、メタプラネットは同日、日本取引所グループ（JPX）がビットコイン・トレジャリー企業を含む暗号資産保有企業に対して、ガバナンス上の不備を防止するための規制強化を検討しているとの一部報道についてもコメントしている。

またメタプラネットは同日、「本日の一部報道について」と題する声明を公表。日本取引所グループ（JPX）が、暗号資産トレジャリー企業に対し規制強化を検討とする報道に対し、現時点で当局から規制措置や調査等を受けている事実はないとしたうえで、透明性およびコーポレート・ガバナンスの強化は健全な動きとの見解を示した。必要に応じて当局と建設的に協議する姿勢も表明している。

参考：資料1・資料2・発表
画像：PIXTA

関連ニュース

• メタプラネット、ビットコイン担保で1億ドル借入実施
• メタプラネット、最大750億円の自己株買い開始。株価の過小評価を背景に
• メタプラネット、企業価値が保有ビットコイン価値を下回る
• メタプラネットがPHASE II戦略を公表。永久型優先株式でBTC長期蓄積へ
• メタプラネット、海外募集による新株発行で約1303億円調達へ。BTC購入等に充当