
ユーロステーブルコインの発行拡大策が検討へ
ユーロ圏の財務相らが、急成長する市場を米国だけに独占されないよう、ユーロ建てステーブルコインの育成をどのように支援できるかを協議する見通しだ。ユーロ圏の高官が10月9日に述べた。
ステーブルコインは、主にドルなどの法定通貨の価値に連動するように設計された、ブロックチェーン上で発行・移転されるトークンの一種。法定通貨以外の金や暗号資産(仮想通貨)に裏付けられるものや、需要調整で価格安定を図るアルゴリズム型も存在する。現在ステーブルコインは、低コストで効率的な国境を越えた決済ツールとして、また伝統的な金融とデジタル資産をつなぐ架け橋として注目されている。
ステーブルコインの市場規模は現在約3,000億ドル(約44.3兆億円)だが、今後10年で10倍に拡大すると見込まれると同高官は述べた。
現在、ほぼすべてのステーブルコインは米ドル建てであり、米国では7月の「GENIUS法(Genius Act)」により、発行体に対して米ドルまたは米国債を裏付け資産とすることが求められた。これには米ドルの優位性を維持する狙いがある。
「つまり議論の焦点は、こうした状況に対し私たちがどう立ち位置を決めるかだ」と、閣僚会議の準備に関わった同高官は語った。
先月9月には、アイエヌジー(ING)やユニクレディト(UniCredit)など9つの欧州銀行によるコンソーシアムが、米国のデジタル市場支配に対抗するためユーロ建てステーブルコインを発行した。しかしユーロ建てステーブルコインは、総発行残高約3,000億ドルのうち、いまだ約6億2,000万ドル(約916億円)にとどまっている。
欧州には「暗号資産市場規制(MiCA)」と呼ばれる独自のステーブルコイン関連法があり、閣僚会議ではユーロ建てステーブルコイン創出を支援するため同法の改正が必要か議論される。
「(財務相らは)リスク抑制と金融イノベーションの促進のバランスが適切かどうか、より支援的であるべきか、質の高い欧州のステーブルコインの発展をよりよく育むために修正すべき規制上の問題があるか、そしてこれらがデジタルユーロとどのように結び付くかを議論する」と同高官は話した。
「これはごく初期段階の協議だ。このテーマを財務相のアジェンダに載せ、注意を喚起し、第一声を得ることが主目的だ。そのうえで今後の行方を見極めていく」と同高官はコメントした。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Euro zone ministers to look at how to boost euro stablecoin issuance (Reporting by Jan Strupczewski; Editing by Toby Chopra)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters
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