
デジタルユーロが27年にも試験運用開始の可能性
欧州中央銀行(European Central Bank:ECB)が、ユーロ圏の金融的自律に不可欠とみなすプロジェクトについて、立法府の迅速な承認が得られれば、2027年にデジタル通貨のパイロット(試行)を開始できると10月30日に発表した。
ECBは、クレジットカードやステーブルコインといった、米国企業が支配的な民間の決済手段に対する戦略的代替案として、CBDC(中央銀行デジタル通貨)となる「デジタル・ユーロ」を位置付けている。地政学的緊張が高まる時代において、金融の自律性とレジリエンスは欧州の経済主権を守る鍵だと見なされる中、この動きはますます重要だとECBは主張する。
4年間にわたる調査と準備を経て、ECBは現在パイロットの実施を検討中と表明。早ければ2027年半ばからデジタル・ユーロによる一部取引が開始され、2年後の本格導入に備える構えだ。
ECBは声明で「パイロットと初期取引は2027年半ばから実施可能」と述べ、「ユーロ圏の中央銀行制度(ユーロシステム)全体は、デジタル・ユーロの2029年中の初回発行の可能性に向けて準備を整えるべきだ」とした。
ただしこれは、欧州議会・理事会・欧州委員会を含む欧州連合(EU)の立法機関が、来年中にデジタル・ユーロの法的基盤となる法案を可決することを条件としている。
その実現は容易ではない。銀行セクターから、デジタル・ユーロが預金を流出させる恐れや、導入コストが高すぎるといった懸念が示され、立法機関もこうした問題意識を汲み取っているためだ。 ・さらにEUの加盟国政府は、そもそもデジタル通貨を導入するかどうか、および住民が保有できる上限額をどう設定するかについて、最終的な決定権を主張している。
ECBは、産業界のコスト見積もりを、節減効果や相乗効果を織り込んだうえで40億〜57.7億ユーロ(4.66億ドル)と試算しており、立法機関との協議を継続すると述べた。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。 
ECB hopes to launch digital euro pilot in 2027 
(Reporting by Francesco Canepa, Editing by William Maclean)
 翻訳:大津賀新也(あたらしい経済) 
画像:Reuters 
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