独大手取引所グループがトークン化資産の決済基盤ローンチ
ドイツの大手証券取引所ベールゼ・シュトゥットガルト・グループ(Boerse Stuttgart Group:以下シュトゥットガルト)が、欧州全域対応のトークン化資産向け決済プラットフォーム「セチュリオン(Seturion)」のローンチを9月4日に発表した。
セチュリオンは、欧州全域のトークン化資産の取引後処理における分断を解消し、決済プロセスを効率化することを目的に設計されたプラットフォームだ。断片化した決済システムを一元化することで、決済コストを最大90%削減できるという。
同プラットフォームは銀行やブローカー、従来型およびデジタルの取引所、トークン化プラットフォームなど幅広い市場参加者に開放されている。パブリックチェーンとプライベートチェーンの両方をサポートし、中銀マネーおよびオンチェーンキャッシュでの決済も可能とする。各機関は自前でDLTライセンスを取得せずとも、既存の市場インフラ接続を活用しながらトークン化資産の取引を提供できる点も特徴だ。
セチュリオンはすでにスイスのFINMA認可DLT取引施設「BXデジタル(BX Digital)」で利用されている。2024年には欧州中央銀行(ECB)のブロックチェーン実証実験でも主要欧州銀行とともにテストされた。
シュトゥットガルトのマティアス・フェルケル(Matthias Voelkel)CEOは「セチュリオンはトークン化資産向けとして初の汎欧州デジタル決済プラットフォームです。オープンアーキテクチャにより、各国の縦割りの決済インフラを超えて、統合された欧州資本市場を実現したいと考えています」とプレスリリースでコメントしている。
なおシュトゥットガルトは欧州で6番目に大きい取引所グループ。伝統的な証券取引に加え、デジタル・暗号資産分野にも注力している。ドイツ、スウェーデン、スイスで取引所を運営し、欧州の取引所グループの中では最大規模のデジタル・暗号資産事業を展開している。
今後は同社の取引所がセチュリオンの最初の利用者となり、さらに多くの参加者が加わる見込みだ。同社は現在、セチュリオンを公式に稼働させるためにEUの「DLTパイロット制度」に基づき、ドイツ金融規制当局(BaFin)にライセンスを申請している。
参考:シュトゥットガルト
画像:PIXTA
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