
CircleがArcテストネット上で機関投資家向けステーブルコインFXエンジンを開始
ステーブルコイン発行企業のサークル(Circle)が、機関投資家向けステーブルコインFXエンジン「StableFX(ステーブルFX)」と地域ステーブルコイン支援プログラム「Circle Partner Stablecoins(サークルパートナーステーブルコイン)」を11月13日に発表した。
StableFXは、現在サークルの独自レイヤー1ブロックチェーン「Arc(アーク)」のテストネット上で稼働している。なおアークのメインネットは2026年のローンチが予定されている。サークルは、包括的な顧客確認(KYB)とマネーロンダリング対策(AML)の検証を完了した承認済み機関投資家のみがStableFXにアクセスできるとしている。
StableFX
StableFXは、機関投資家が24時間365日体制でステーブルコイン通貨ペアにアクセスし決済できる取引エンジンだ。従来の外国為替市場では、バッチ処理やコルレス銀行チェーン、T+1/T+2の決済期間、仲介業者の長いチェーンなどレガシーな慣行が根付いており、決済は最大手機関投資家を除くすべての人にとってコストが高く遅いという課題があった。StableFXはこれらの課題に対処するため、機関投資家向けリクエスト・フォー・クォート(RFQ)の執行と、機関投資家間の自動ペイメント・バーサス・ペイメント(PvP)決済を統合したものだ。
同システムの中核となるのは、実行エンジンとオンチェーン決済コントラクトの2つのコンポーネントだ。実行エンジンでは、テイカー(例えば企業財務部門、暗号資産VASP、決済サービスプロバイダー)が通貨ペア、取引方向、名目金額、決済期間、希望する決済モデルを指定してRFQを送信する。StableFXはリクエストを検証し、適格なメイカー(例えば暗号資産OTCデスク)に低遅延チャネルを通じて送信し、メイカーは在庫とリスク方針に基づいて見積もりを返す。テイカーとメイカーの承認により、執行はアーク上に不変的に記録される。なお見積もりは速度のためオフチェーンで流れるが、執行記録とPvP決済はオンチェーンで強制され、すべての参加者が同じ正規記録を確認できるという。動作目標は見積もり往復で100ミリ秒未満、執行遅延で200ミリ秒未満としている。
オンチェーンPvP決済コントラクトは、PvPエスクロースマートコントラクトを通じてリスクを軽減し、両側が資金を提供した場合にのみ資金が移動することを保証する。決済期間は取引前に設定可能で、ほぼ即時から営業日終了後やそれ以降まで対応し、両当事者が期限前に資金を提供した場合にのみ取引が決済される。義務が履行されない場合、取引は解消され資金は返還される。またメイカーネッティングにより総債務を純ポジションに縮小し、PvPの安全性を維持しながら資本効率を高めるという。これにより、メイカーとテイカーは従来のモデルで複数の二国間関係をリスク管理する負担なしにStableFX上で取引できるとのことだ。
StableFXのユースケースとしては、企業財務管理、企業間・消費者間決済、法定通貨とデジタル資産の交換が想定されている。企業財務管理では、多国籍企業が週末のユーロ受領額をジャストインタイムで米ドルに変換できることや、運用エクスポージャーのヘッジができる。決済では、ギグワーカーへの給与支払いや供給者決済、送金サービスへの組み込みが可能だ。またオンランプ / オフランプでは、多通貨オンボーディングや現金化、取引所の流動性管理に活用できる。
将来的には、RFQを超えた執行スタイルの拡大、トークン化された資産のサポート、アークのプライバシー機能の活用、パーミッションレスなテイカー需要の有効化などが計画されている。トークン化された資産のサポートは、トークン化された米国債やマネーマーケットファンド、預金トークン、トークン化された実物資産(RWA)が検討されている。プライバシー機能については、アークのロードマップに機密転送などのプライバシー機能が含まれており、StableFXはこれを活用して特定の機密情報を暗号化し、公開ビューから保護できるように設計される予定だ。
Circle Partner Stablecoinsプログラム
Circle Partner Stablecoinsプログラムは、アーク上にデプロイする厳選された非米ドル連動ステーブルコインを支援する取り組みだ。
同プログラム参加者は技術、準備金、リスク管理に関する適格基準を満たす必要があり、サークルペイメントネットワーク(CPN)とStableFXを通じて実世界の決済、送金、FXフローの統合へのアクセスを得られる。初期参加者には、各国のステーブルコイン発行企業が参加している。「AUDF」を発行するフォーティ(Forte)、「BRLA」を発行するアヴェニア(Avenia)、「JPYC」を発行するJPYC社、「KRW1」を発行するBDACSコリア(BDACS Korea)、「MXNB」を発行するジュノ(Juno、ビッツォ(Bitso)の子会社)、「PHPC」を発行するコインズPH(Coins.ph)、「QCAD」を発行するステーブルコープ(Stablecorp)、「ZARU」を発行するザール・ユニバーサル・ネットワーク(ZAR Universal Network)が含まれている。
プログラムに参加するステーブルコイン発行者は、サークルの適格性フレームワークを満たす必要がある。これには規制ライセンス、準備金の品質と透明性、運用の成熟度、セキュリティ、市場アクセスが含まれる。ミント / バーンフローはアーク上で自動化され、準備金は高品質流動資産(HQLA)によって1対1で裏付けされ証明される必要があり、発行者はコンプライアンスと現地銀行接続を実証しなければならない。またパートナーは四半期ごとの証明、制裁スクリーニング、規制や評判に関するイベントのトリガーベースのレビューを含む継続的なモニタリングを完了することが求められる。
同社の最高製品・技術責任者であるニキル・チャンドク(Nikhil Chandhok)氏は、「StableFXとCircle Partner Stablecoinsにより、アーク上で世界の通貨を接続している」と述べている。
Circle StableFX and Circle Partner Stablecoins are live on Arc Testnet.
A new foundation for FX is here, built on stablecoins, designed for institutions.@circle is launching two key building blocks for fast, programmable, always-on FX:
→ Circle StableFX: An… pic.twitter.com/c1b5TFpeS4
参考:Circle StableFX Litepaper https://6778953.fs1.hubspotusercontent-na1.net/hubfs/6778953/StableFX-Litepaper_2025.pdf
画像:PIXTA
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