米司法省、過去最大の没収訴訟を提起。約150億ドル相当のBTCを押収へ

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NewEconomy JP 3 weeks ago 190

カンボジア拠点の「Prince Group」創業者を起訴

米司法省が、127,271BTC(当時の価値で約150億ドル相当)を対象とする民事没収の訴訟を提起したと10月14日に発表した。これは、司法省の歴史上最大規模の没収措置となる。

被告は、カンボジアを拠点とする多国籍コングロマリット「プリンスグループ(Prince Group)」の創業者兼会長、チェン・ジー(Chen Zhi、別名Vincent)氏。電信詐欺共謀およびマネーロンダリング共謀の罪で起訴されており、現在も逃亡中とされる。

司法省によると、プリンスグループは表向きには不動産・金融・消費者サービスを展開していたが、実態は人身売買と暗号資産詐欺を結合した国際的犯罪ネットワークだったという。

同グループが運営する複数の「詐欺複合施設(scam compounds)」では、連れ去り・借金・脅迫などで拘束された労働者が監禁状態で働かされ、SNSやメッセージアプリを通じて世界中の被害者に接触。恋愛関係や投資仲間を装って信頼を得たうえで、暗号資産投資を名目に資金を送金させる「豚の食肉解体(pig butchering)」と呼ばれる詐欺を組織的に行っていた。

この詐欺による被害は世界中に広がり、米国内にも関連ルートがあったという。米ニューヨーク州ブルックリンでは、250人以上の被害者からの資金移転やマネーロンダリングを支援した疑いがあるとのことだ。

なお、詐欺複合施設は高い壁と有刺鉄線で囲まれ、暴力や拷問も横行していたという。チェン氏自身が「問題を起こした者を叩け。ただし殺すな」と指示した記録も残されているとされる。

また、チェン氏の指示のもと、プリンスグループの関係者は高度な暗号資産洗浄技術を駆使し、不正資金の出所を隠蔽。具体的には「スプレイ」や「ファンネリング」と呼ばれる手法で、大量の暗号資産を無数のアドレスに分散・再集約し、資金の流れを不明瞭にしたとのことだ。

犯罪収益の一部は暗号資産取引所のウォレットや銀行口座に保管され、残りはチェン氏が秘密鍵を保持する非ホスト型ウォレット(アンホステッドウォレット)に保管されていたという。

チェン氏はマイニング事業の収益について「コストがかからないため利益が大きい」と豪語していたが、その運転資金は被害者から盗まれた資金だったとされる。

さらに、犯罪収益の一部は高級時計やヨット、プライベートジェット、別荘、さらにはニューヨークのオークションハウスで購入したピカソの絵画などの贅沢品購入に充てられていたという。

なお、起訴内容は現時点で容疑にすぎず、チェン氏は有罪が証明されるまでは無罪と推定される。もし有罪となれば、最長40年の懲役刑が科される可能性があるとのことだ。

司法省の発表と並行し、米財務省はプリンスグループを「越境犯罪組織(TCO)」に指定し、制裁措置を発動。同時に、被告および複数の関連個人・団体が違法活動に関与したとして、146の個人・法人が制裁対象となった。

なお、英国の外務・英連邦・開発省(FCDO)も同日、同グループおよび関係者に対して制裁を発表している。

参考:発表
画像:PIXTA

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