
NTT西日本がブロックチェーン活用の音声AI事業を開始
NTT西日本が、ブロックチェーン技術を採用した音声AI事業「VOICENCE(ヴォイセンス)」を開始したと10月27日に発表した。
VOICENCEは、声優・俳優・アーティスト・芸人などの実演家の声の権利を守り、声の価値を高める事業とのこと。社内独立組織「VOICENCEカンパニー」設置により同事業を進めるという。
具体的に同事業では、AI音声合成と独自の権利保護技術を組み合わせ、「実演家から提供された音源データ」「それを学習させ生成したAI音声モデル」「そこから作成したAI音声およびコンテンツ」といった音声に関連する知的財産を「音声IP ($5.22)」として保管・管理するプラットフォームを構築したという。これにより、声を守ると同時に、声を正しく活用し、経済・社会に新たな価値をもたらす正規ライセンス市場を整備することで、企業やクリエイターによる健全な「音声IP」の活用を促進するとのこと。
VOICENCEにて保管・管理される「音声IP」の特徴は、真正性を証明するデータ付与により、無断生成された音声データと区別できることだという。真正性証明技術にはパブリックブロックチェーンとVC(Verifiable Credentials)を活用しているとのこと。分散型台帳による改ざん耐性を確保した「データ真正性」と、階層型VC(NTTテクノクロス社の特許技術を採用)によるデータの親子関係を記録し追跡できる「トレーサビリティ」、利用許諾や条件など契約内容等「用途証明」を組み合わせ、NTT西日本が独自で開発した「トラスト技術(特許出願中)」を採用しているという。
なお同技術は、2025年度NEDO懸賞金活用型プログラム「GENIAC-PRIZE」領域03のトライアル審査にて採択されたとのことだ。
「あたらしい経済」編集部はNTT西日本に、VOICENCEの真正性証明技術に採用したパブリックブロックチェーンについて問い合わせを行っている。回答が得られ次第、この記事に追記する予定だ。
VOICENCEカンパニーは、上記の「VOICENCEプラットフォーム」構築により、コンテンツプロデュース事業を展開するという。実演家に対しては①音声IPライツマネジメント機能を提供し、音声IPを活用するクライアント企業に対しては②音声コンテンツ企画・制作機能を担うとのこと。
「音声IP」は、NTT人間情報研究所の音声処理技術を活用し、テキスト入力により実演家の声色のままAI音声合成および多言語変換するという。それら「音声IP」を前述したトラスト技術を活用してライツマネジメントを行うとともに、企業のブランディングやプロモーション、観光向けディスティネーションコンテンツ、海外ファン向け多言語配信など多彩な音声コンテンツおよびソリューションの企画・制作・運用まで一貫してプロデュースするとのこと。
これにより実演家の収録稼働の制約を受けずにバリエーションを創出できるため、生活者とのインタラクティブなタッチポイントを拡大しながらその収益をIPに還元することで、ライセンサーの収益機会を広げられると説明されている。
なお数秒から数分程度の声をインプットすることで、本人の声の性質や話し方の特徴が再現可能なAI音声合成技術に加え、「音声印象制御技術」により話者の声色を保ったまま印象や口調を変換できるという。また「クロスリンガル技術」により話者本人の声色のまま、多言語に変換しての出力も可能であり、現在は日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語の6ヵ国語に対応しているとのことだ。
現在VOICENCEに「声」を預けているパートナーには、俳優の別所哲也氏、声優の花江夏樹氏、声優の春日望氏、バーチャルタレントのKizunaAI氏がいるという。
NTT西日本は、VOICENCE事業にて、3年目に売上10億円、5年目に100億円規模の事業成長を目指すとのことだ。
参考:NTT西日本
画像:PIXTA
関連ニュース
- NTTデジタル・UPCX・ペイクル、ブロックチェーン等の共同研究で連携
- JTB、NTTテクノクロス、ビットトレードが「推し活」による持続的な地域活性化に向け共同研究
- NTT Digital、「NERO Chain」のバリデーター参画へ
- NTT西日本と佛教大学、デジタル会員証を活用した生涯学習支援の実証実験。bitFlyer Blockchainの「Miyabi」で
- NTTデータとセキュリタイズJP、デジタル証券プラットフォームで「社債購入者情報提供サービス」提供開始










24h Most Popular





Utilities