
クロスチェーン決済の共通基盤整備へ
ブロックチェーン決済の標準化を目指した、主要プロジェクトらによる新たな枠組み「ブロックチェーン決済コンソーシアム(Blockchain Payments Consortium:BPC)」の立ち上げが11月6日発表された。
BPCのXでの発表によると同アライアンスに参画するのは、TON ($1.99)、ポリゴン(Polygon)、ソラナ(Solana)、スイ(Sui)、ステラ(Stella)、ミステン・ラボ(Mysten Labs / スイ開発元)、モナド(Monad)、ファイアブロックス(Fireblocks)の8団体だ。
これらが関与するネットワークのステーブルコイン取引量は、合計で年間10兆ドル(約1,530.6兆円)を超えるとされる。団体は連携し、クロスチェーン決済の共通基盤構築を目指す。
声明によると、BPCは「ステーブルコインのクロスチェーン取引を、従来型決済と同等の利便性とデータ要件で強化する共通フレームワークの定義」を追求するとしている。
発表では、2024年のオンチェーン決済取引総額が約20兆ドル(約3,061兆円)に達し、ビザ(Visa)やマスターカード(Mastercard)の決済量を上回ったものの、ネットワーク間で技術やコンプライアンス標準が異なることが依然として課題だと指摘された。
ファイアブロックスの支払い・ネットワーク部門 シニア・バイスプレジデント(SVP Payments and Network)であるラン・ゴルディ(Ran Goldi)氏は、「過去18か月でブロックチェーン業界は主流化を果たし、決済がその中心にある」と述べ、「より多くの既存プレイヤーがこの分野に参入する中で、協調と連携の改善が不可欠だ。BPCはそれを実現するための重要なプラットフォームだ」とコメントした。
BPCは直ちに活動を開始し、技術標準、コンプライアンスフレームワーク、機関統合を担当するワーキンググループの立ち上げを今後予定している。
BPCのミッションステートメントでは、ブロックチェーン・エコシステム、規制当局、金融機関の間を橋渡しする存在として、各法域にわたるコンプライアンスを支える一貫した相互運用フレームワークを提供し、「国境を越えた統一的な決済インフラの基盤を築く」ことを目指すとしている。
各団体の幹部は、グローバルなスケールでの採用に向けて、相互運用性(インターオペラビリティ)とコンプライアンスが鍵になると口をそろえる。
ポリゴン・ラボの決済部門責任者(Head of Payments)であるジャマール・ラエース(Jamal Raees)氏は、「私たちは決済こそがブロックチェーンの最も強力な実用例だと考えている。未来の決済はつながりとシンプルさがすべてであり、テキストメッセージを送るのと同じくらい簡単で信頼できる体験を目指す」と述べた。
ミステン・ラボの商業およびコンシューマープロダクト部門ディレクター(Director of Commerce and Consumer Product)であるローラ・オイエラヨ=ピアソン(Lola Oyelayo-Pearson)氏は、「現状では法定通貨とブロックチェーンの間に摩擦が多く、それが主流採用を妨げている。相互運用性の標準がなければ、ハイブリッド決済の未来は存在しない」と指摘する。
また、モナド財団のステーブルコインおよび決済部門責任者(Head of Stablecoins and Payments)であるラージ・パレク(Raj Parekh)氏は、「イノベーションと金融規制の整合が、グローバルなブロックチェーン決済拡大の鍵になる。BPCのフレームワークはその橋渡し役となり、より速く安全で一貫した決済体験を可能にする」と述べた。
ソラナ財団の決済部門ゼネラルマネージャー(GM of Payments)であるシェラズ・シェレ(Sheraz Shere)氏は、「ソラナは資本をインターネットの速度で動かすことを可能にする。BPCは、ブロックチェーン決済を従来のネットワークと同等にシームレスで信頼できるものにするための標準を定義する助けとなる」とコメントした。
ステラ開発財団の最高事業責任者(Chief Business Officer)であるラジャ・チャクラボルティ(Raja Chakravorti)氏は、「ステラはすでに数十億ドル規模の決済を支えてきたが、真のグローバル採用には速度やコストだけでなく、信頼性・相互運用性・明確な標準が必要だ。BPCは業界成熟に向けた重要な一歩だ」と述べている。
トン財団の決済部門バイスプレジデント(Vice President of Payments)であるニコラ・プレカス(Nikola Plecas)氏は、「BPCを通じてネットワーク、機関、企業が連携し、ブロックチェーン決済を高速・信頼性・スケーラブルでグローバルなものにしていく」と述べ、「すべての人に開かれた国境なきデジタル経済の基盤を築く」と強調している。
Introducing the Blockchain Payments Consortium (BPC).
A new alliance uniting @ton_blockchain, @0xPolygon, @solana, @SuiNetwork, @StellarOrg , @Mysten_Labs, @monad, and @FireblocksHQ to accelerate the future of blockchain payments.
Together, we’re defining the standards that… pic.twitter.com/mSr7EJEf4P
参考:発表・報道
画像:iStock/ LuckyStep48・metamorworks
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