
政府は前向き、RBIはリスクを警戒
インド政府が、ステーブルコインを決済用途として正式に認める前段階として実験導入を検討していると、ビジネス誌の「マネーコントロール(Moneycontrol)」が関係者の話として11月19日に報じた。
政府は2025-26年度の経済白書において、特定の取引に限りステーブルコインを法定通貨として扱う可能性を「ケース」として提示する方向で議論しているという。
これは、ステーブルコインを小規模な決済や限定的な用途で試験的に認めるシナリオを示し、実際に銀行システムが処理できるか、実用性やリスクを検証するための枠組みを提示するものとされる。
なお、現時点でインドには暗号資産に関する統一的な規制枠組みはなく、いずれの暗号資産も法定通貨として認められていない。
一方で、インドの中央銀行であるインド準備銀行(RBI)のサンジャイ・マルホトラ(Sanjay Malhotra)総裁によると、中央銀行はステーブルコインに対して引き続き慎重な姿勢を示しいている。
マルホトラ総裁は11月20日にデリー経済学校で行った講演で、作業部会が暗号資産の扱いについて決定し、最終的判断は政府が行うが、RBIとしては様々な懸念から、暗号資産に対して慎重な姿勢をとっていると述べている。
マルホトラ総裁はまた、米国で6月にステーブルコイン規制の「ジーニアス(GENIUS)法案」が可決されたことを受け、インドも同様の対応を迫られるのではないかとの指摘を退けた。その理由として、米国とは異なり、インドには既に強固なデジタル決済基盤が整っているためだとした。
同氏は、24時間365日稼働するUPI(統合決済インターフェース)をはじめ、毎時決済が可能なNEFT(全国電子資金移動)、大口取引向けの即時グロス決済システムであるRTGSなど、「既存の国内決済インフラだけで十分に高度な環境が整っている」と強調している。
さらに、「米コインデスク(CoinDesk)」の報道によればインドでは、ルピーに1:1で連動するステーブルコイン「資産準備証明書(Asset Reserve Certificate:ARC)」の発行構想も進行しており、2026年第1四半期にローンチされる可能性があるという。政府債や短期証券を裏付けとする完全担保型の設計が検討されており、開発にはポリゴン(Polygon)とインド系フィンテック企業アンク(Anq)などの民間企業も関与していると報じられている。
インド政府は暗号資産政策の見直しを進めている。政府高官は2月2日、「ロイター(Reuters)」に対して、各国で暗号資産の扱いが変わりつつある中、インドも議論文書を再検討していると語っている。
経済担当長官のアジャイ・セス(Ajay Seth)氏は、暗号資産が「国境を持たない」ため、一国の判断だけでは不十分と説明。なお、当初2024年9月に公開予定だった暗号資産に関する議論文書は、公開がさらに遅れる可能性があるという。
またピユーシュ・ゴヤル(Piyush Goyal)商工大臣は10月7日、政府として暗号資産の推奨も阻止もしていないとしたが、資産クラスとしての暗号資産には疑問を呈した。同氏は、ほとんどの暗号資産は「価値を保証するバックエンドがない」と主張している。
参考:報道・報道・報道
画像:PIXTA
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