
EUで規制下の証券トークン基盤が始動へ
実物資産(RWA)のトークン化プラットフォーム提供のセキュリタイズ(Securitize)が、欧州連合(EU)において投資会社(Investment Firm)および取引・清算システム(Trading & Settlement System:TSS)としての規制認可を完全取得したと11月26日に発表した。
これに合わせ、ブロックチェーンアバランチ(Avalanche)上で欧州向けTSSを展開するという。
これによりセキュリタイズは、米国とEUの両市場で規制下のデジタル証券インフラを運営できる世界唯一の企業になったとのことだ。
セキュリタイズの欧州法人「Securitize Europe Brokerage & Markets, SV SA」は、2024年12月にスペインで投資会社ライセンスを取得しており、今回のTSS認可にはスペイン証券市場委員会(CNMV)、欧州証券市場監督機構(ESMA)、スペイン銀行、欧州中央銀行(ECB)が関わっているとのこと。
なおこのライセンスは、注文の受領・伝達、注文執行、保管、移転代理人サービス、市場インフラシステムの運営をカバーするものだという。
同社のスペインでの認可は、EU域内で横断的に通用するライセンスとして、すでにドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダなどEU主要国でも有効となっている。
今回の認可により、セキュリタイズは、多国間取引施設(MTF)と中央証券保管機関(CSD)の機能を単一デジタルフレームワーク内で統合できる。
欧州向けTSSは、サブ秒でのファイナリティなど高い性能を特徴とするアバランチのブロックチェーン上に構築される。アバランチ上でのEU初のトークン化証券の発行は2026年初頭を予定しているという。
セキュリタイズCEO兼共同創業者のカルロス・ドミンゴ(Carlos Domingo)氏は、「世界のトークン化とは、これまで世界の資本市場を分断してきた国境を取り払う。米国とEUの両方で規制下のデジタル証券インフラを運営できる唯一の企業となったことで、世界最大の2つの金融市場を直接つなぐ立場を手にした」とコメント。
またアバラボ(Ava Labs)のプレジデントであるジョン・ウー(John Wu)氏は、「アバランチは、世界の資産をトークン化するために求められる性能と予測可能性を実現するために設計された。今回の欧州全域TSSの立ち上げは、欧州のトークン化市場にとって重要なマイルストーンであり、機関投資家向けブロックチェーンインフラが発行体と投資家に新たなレベルの速度、透明性、効率性をもたらす」と述べている。
セキュリタイズは、実世界資産(RWA)トークン化分野の大手として、2025年11月時点で40億ドル超の運用資産(AUM)を持つ企業だ。アポロ(Apollo)、ブラックロック(BlackRock)、BNY、KKR、ヴァンエック(VanEck)などの大手資産運用会社と提携し、トークン化ファンドを展開している。
また10月28日にセキュリタイズは、特別買収目的会社(SPAC)との事業統合による上場計画を発表。事前の株式評価額は12億5,000万ドル(約1,906億円)。最大で約4億6,900万ドル(約715億円)の資金調達が見込まれているという。
また同社は、米国ではSEC登録のブローカーディーラー、デジタルトランスファーエージェント、代替取引システム(ATS)運営事業者としても活動している。
参考:発表
画像:PIXTA
関連ニュース
- セキュリタイズ、AAAのローン担保証券をトークン化。BNYと共同で新ファンド立ち上げ
- セキュリタイズ、ナスダックにSPAC上場へ、評価額は12.5億ドル
- セキュリタイズがSPAC上場協議、ハッシュキーはIPO申請=報道
- セキュリタイズとFGネクサス、株式トークン化プログラムをイーサリアムで実施へ
- 米セキュリタイズがSeiと統合、アポロのRWAファンド導入










24h Most Popular






Utilities