
SECが検査優先事項から暗号資産企業の監督を重点とする方針を外す
現在の会計年度におけるウォール街の金融機関の検査の優先事項から、暗号資産(仮想通貨)関連サービスを提供する企業への監督に重点を置く方針が外された。米SEC(証券取引委員会)が11月17日に公表した年次声明で明らかになった。
投資顧問、証券会社、清算機関、証券取引所などの法令順守をチェックするSECの検査局(Division of Examinations)は、受託者責任、行動基準、資産保管に加え、顧客データのプライバシーに関する新たな要件などに重点を置くと説明している。
しかし今回の声明には、これまでの年次文書にあったような、暗号資産に関する活動やデジタル資産価格のボラティリティに明確に焦点を当てた独立したセクションは設けられていない。米連邦政府の現在の会計年度は2026年9月30日に終了する。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領のもと、暗号資産セクターを政治的にも個人的にも支持してきた政権は、デジタル資産分野の発展を促進するための包括的なアジェンダをSECに提示しており、業界を不正や法令違反にまみれた存在と見なしてきた前政権から大きく方向転換している。今回の優先事項の変更も、業界側にはさらなる追い風として受け止められる公算が大きい。
コメント要請に対してSECの広報担当者は、11月17日の発表文の一節を引用し、今年度の優先事項は、SECの検査官が重点的に取り組む全ての分野を網羅的に列挙したものではないと強調した。
SEC委員長のポール・アトキンス(Paul Atkins)氏は「検査は当委員会の使命を果たすうえで重要な要素だが、『揚げ足取り(gotcha)』のためのものになるべきではない」と述べた。
また同氏は「今回の検査優先事項の公表によって、企業はSEC検査官との建設的な対話に備えることができ、また当委員会の中でも最も対外的な役割を担う部門の優先事項について、より高い透明性を提供できるはずだ」と話した。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Wall Street regulator drops emphasis on crypto sector exams for 2026
(Reporting by Douglas Gillison in Washington; Editing by Matthew Lewis)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters
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