
暗号資産の国際報告ルールへ前進
米ホワイトハウスは、米国内国歳入庁(IRS)が国外で行われる米国納税者の暗号資産取引データにアクセスできるようにする新たな規則案を審査していることがわかった。米政府の規制情報ポータル「Reginfo.gov」上で確認できる。
今回の規則案は、国際的な税務透明化の枠組み「暗号資産報告フレームワーク(CARF)」の国内導入に向けた動きの一環とみられる。
「Reginfo.gov」によると、米財務省とIRSは「CARF: U.S. Broker Digital Transaction Reporting(RIN 1545-BQ82)」と題する規則案を提出しており、現在ホワイトハウス予算管理局(OMB)傘下の情報・規制問題局(OIRA)がその内容を審査中だ。
この規則は、米国のブローカーによるデジタル資産取引の報告義務を定めるもので、提案規則(NPRM)の公示は2026年5月に予定されている。規則の説明には「国際貿易や投資への影響が想定される」と明記されており、米国内にとどまらず、国際的な暗号資産取引に関わる税務報告義務の整備につながる可能性がある。
OIRAでの審査が完了すれば、規則案は正式に公表され、意見募集を経て最終化される見通しだ。
今回の動きの背景には、2025年7月にホワイトハウスが発表したデジタル資産に関する包括報告書の内容がある。同報告書では、IRSおよび財務省に対し「グローバル基準を実装し、税務コンプライアンスを改善するための規則案を検討するよう」勧告していた。
CARFは、G20の要請を受けて経済協力開発機構(OECD)が開発した枠組みで、暗号資産に関する国家間の自動的な情報交換を目的としている。暗号資産サービスプロバイダーに対して特定の取引情報を規制当局へ報告することを義務づけるもので、ホワイトハウスはCARFの実装により、米国納税者が暗号資産を海外取引所へ移転することを抑止し、国内市場の透明性向上と国際競争力の維持を図る狙いがあるとしている。
なお、同報告書では「新たなルールによってDeFi(分散型金融)取引に追加の報告義務を課すべきではない」とも明記されている。
参考:発表
画像:PIXTA
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