米ステーブルコイン政策はユーロにとって関税より危険との発言
イタリアのジャンカルロ・ジョルジェッティ(Giancarlo Giorgetti)経済財務相は4月15日、ドルに連動するデジタル通貨「ステーブルコイン」を巡る米国の政策について、欧州市民に国際決済の魅力的な手段を提供し、関税以上に欧州にとって懸念すべき事態を招く恐れがあるとの見方を示した。ミラノで開かれた資産運用に関する会合で語った。
ジョルジェッティ氏は、欧州連合(EU)当局は国際決済におけるユーロの地位を強化するため、さらなる措置を講じるべきだと主張。EUの決済業界は足並みがそろっていないと非難した。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、暗号資産を厳しく規制していたジョー・バイデン(Joe Biden)前大統領の方針を転換し、規制を抜本的に見直すと表明している。
ジョルジェッティ氏は「最近は貿易関税の影響が全般的に注目されているが、それより危険なのは暗号資産を巡る米国の新たな政策であり、特にドルに連動するステーブルコインの政策が危険だ」と述べた。
同氏は、ステーブルコインは預金者にリスクのない資産に投資する機会を提供するとともに、米国の銀行に口座を開設せずに国際決済する手段を与えると指摘。「このため(ステーブルコインは)通貨が不安定な国の市民にとって魅力的に映ることは容易に予想できるが、ユーロ圏の人々にとっての魅力を過小評価すべきではない」と訴えた。
その上でジョルジェッティ氏は「欧州市民が基本的な決済サービスを利用するために外国の解決策に頼る必要性を最小限に抑えるため、デジタルユーロは極めて重要になるだろう」と付け加えた。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
米のステーブルコイン政策、ユーロにとって関税より危険=伊経済財務相
画像:Reuters
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