
アイルランドがコインベースに罰金科す
アイルランド中央銀行が、暗号資産(仮想通貨)取引所大手コインベース・グローバル(Coinbase Global)のアイルランド子会社コインベース・ヨーロッパ(Coinbase Europe)に対し、マネーロンダリング防止およびテロ資金供与対策に関する取引監視義務違反を理由に2,150万ユーロ(約2,500万ドル、約38億円)の罰金を科したと11月6日に発表した。
アイルランド中央銀行によると、この罰金は、コインベース・ヨーロッパの取引モニタリングシステムの設定に不備があったことに関連するもので、その結果、12カ月間で合計3,000万件超、総額1,760億ユーロ(約31兆1,000億円)以上に相当する取引が適切にモニタリングされていなかったという。
同行はさらに、影響を受けた取引のモニタリングを完全に完了するまでにコインベースは約3年を要し、その過程で2,708件の疑わしい取引が当局に報告され、分析および捜査の対象となったと説明している。
これらの取引には、マネーロンダリング、詐欺、麻薬取引、サイバー攻撃、児童の性的搾取など、重大な犯罪行為に関連する疑いが含まれていたとされる。
コインベースは声明で、取引モニタリングシステムにおいて3件のコーディングエラーが「非意図的に」発生し、その結果、特定のリスク要因を検知する21の監視シナリオのうち5つが、2021年から2022年にかけて全取引を完全にはスクリーニングできていなかったと説明した。
同社は、問題を検知後2~3週間以内にこれらのエラーを修正したとしている。また和解の一環として、累計1,300万ユーロ(約23億円)相当の疑わしい取引について、実際に犯罪行為につながったとコインベースおよび当局が断定することはできないとした。
コインベースは再発防止策として、システムのテストおよびモニタリング体制の強化などを講じたと付け加えている。
今回の罰金額は、当初算定された3,070万ユーロ(約54億円)から、和解に伴う割引および、対象期間におけるコインベース・ヨーロッパの平均年間収入4億1,700万ユーロ(約738億円)を踏まえて減額された。
アイルランド中央銀行のコルム・キンケイド(Colm Kincaid)副総裁は声明で「いかなる金融機関においても、この種の取引監視システムが機能不全に陥れば、犯罪者が当局の目を逃れる機会を生むことになり、犯罪者は必ずその機会を悪用する」と強調した。
さらに同氏は、「暗号資産は、その技術的特徴に加え、匿名性を高める機能や国境を越えた性質により、資金移転を試みる犯罪者にとってとりわけ魅力的な手段となっている」と述べ、厳格な監視の必要性を訴えた。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Irish regulator fines Coinbase Europe 21.5 million euros over monitoring failures
(Reporting by Muvija M; Editing by Padraic Halpin and Emelia Sithole-Matarise)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters
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