ソラミツCBDCのCBDC実証事業が経産省の補助金に採択
ソラミツCBDCによる、パプアニューギニア独立国、ソロモン諸島、パキスタン・イスラム共和国、パラオ共和国における中央銀行デジタル通貨および貯蓄国債システム実証事業が、経済産業省の「令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業)」に採択されたことを8月13日に発表した。
発表によると今回採択された事業は、パプアニューギニアおよびソロモン諸島におけるCBDCのパイロット、パキスタンにおけるCBDCの実証実験、パラオにおける貯蓄国債システムのパイロットを行うことを目的としているという。
なおグローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金は、グローバルサウス諸国の市場活性化と日本との経済連携の強化を目的に、日本企業が実施するFS(事業実施可能性調査)事業や小規模実証事業に係る費用の一部を支援する経産省による取り組みだ。
ソラミツCBDCは、国内ブロックチェーン技術開発企業ソラミツの関係会社として2024年3月に設立された企業。ソラミツCBDCは、主に海外向けのブロックチェーンを活用したCBDC(中央銀行デジタル通貨)システムや貯蓄国債システムのビジネス開拓や開発を担当し、ソラミツが長年培ってきたソフトウエア資産、知財、ビジネス開拓や開発の人材、ノウハウや経験などを受け継いで事業分割により誕生したとのことだ。
なおソラミツでは、2020年10月にカンボジア中央銀行と共同開発したブロックチェーンベースのCBDCシステム「バコン」の正式導入を行っている。2024年末には、カンボジアの人口1,700万人に対し、「バコン」の口座数は3,000万、年間の決済金額は16.7兆円に上り、カンボジアのGDPの3.3倍の規模に急成長しているとのこと。
その後ソラミツは、ラオス中央銀行、ソロモン諸島中央銀行、パプアニューギニア中央銀行とCBDCの実証実験を完了し、パラオ財務省向けのブロックチェーンベースの貯蓄国債システムの開発を行っているという。
パプアニューギニア、ソロモン諸島においては実証実験がすでに完了しているため、今回の経産省の予算を活用し、本番稼働を見据えたパイロット(数百人規模)を実施し、規模の拡大や民間金融機関の参加等を進める予定だという。
またパラオにおいては、貯蓄国債システムのプロトタイプの開発が完了しているため、同予算を活用し、本番稼働を見据えたパイロットを実施する予定とのこと。
そしてパキスタン中央銀行については、2025年1月にソラミツCBDCがソラミツと共にカンボジア中央銀行を訪問し、CBDCシステムに関する4日間にわたる討議を行ったとのこと。パキスタン中央銀行はこれらの実績を評価し、今回の実証実験(PoC)の実施に至ったという。
今回のパキスタン中央銀行向けの実証実験(PoC)においては、脆弱な電力事情やインターネット通信環境を鑑み、オンライン型のCBDCに加えて、通信環境がなくても決済が実行できるオフライン型のCBDCも実施する予定とのこと(数十人規模)。
ソラミツCBDCによるとパキスタンは、特に地方において銀行が少ないことや銀行口座開設率が低く、現金の流通コストが高いなどの社会課題を抱えているという。また同国の地方においては電力事情やインターネットなどの通信事情が脆弱であるなどの課題も山積しているとのこと。
このような環境の中で、より多くの国民にデジタル技術を活用した金融システムを提供する金融包摂が喫緊の課題であるとソラミツCBDCは述べている。ソラミツはパキスタンに対し、カンボジアなどで実績のあるブロックチェーンを活用したCBDCシステムによる金融包摂や金融システムの即時性、安定性、セキュリティ向上の実現を提案しているとのことだ。
ソラミツではリナックス財団(The Linux Foundation)がオープンソース・ブロックチェーン基盤として進めている「ハイパーレジャーイロハ」の開発に貢献している。
ハイパーレジャーイロハはこれまでに、カンボジア国立銀行のデジタル決済システム「Bakong/バコン」の正式運用や、ラオスのCBDC(中央銀行デジタル通貨)実証実験「DLAK/デジタル・ラオ・キープ」、ソロモン諸島のCBDC実証実験「Bokolo Cash/ボコロ・キャッシュ」を始め、国内では会津大学にて採用された国内初のデジタル地域通貨「白虎」など、国内外でCBDCや地域デジタル通貨の発行基盤として利用されている。
参考:ソラミツCBDC・採択事業一覧
画像:iStocks/artsstock
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