
ド・クォンが米国詐欺罪で有罪を認める
2022年に推定400億ドルを失わせた2つのデジタル通貨の仕掛け人である韓国の暗号資産(仮想通貨)起業家、ド・クォン(Do Kwon)氏が、米国での詐欺を目的とする共謀および電信詐欺の2つの罪状について8月12日に有罪を認めた。
シンガポール拠点のテラフォーム・ラボ(Terraform Labs)を共同創業し、「テラUSD(UST)」と「ルナ(LUNA)」を開発した33歳のクォン氏は、米連邦地裁のポール・エンゲルマイヤー(Paul Engelmayer)判事の前で、ニューヨークの法廷審理において有罪答弁を行った。
同氏は1月、有価証券詐欺、電信詐欺、商品取引詐欺、資金洗浄共謀の計9件で起訴された際には無罪を主張していた。
1ドルの価値を維持するように設計されたステーブルコイン「TerraUSD」について、2021年に投資家を誘導したとして起訴されたクォン氏は、マンハッタン連邦検事局(Manhattan U.S. Attorney’s Office)との合意の下、2件について有罪を認めた。
「ド・クォンは、暗号資産をめぐる技術的な約束と投資熱狂を利用し、史上最大級の詐欺の一つを働いた」と、マンハッタン連邦検事のジェイ・クレイトン(Jay Clayton)氏は声明で述べた。
量刑は12月11日にエンゲルマイヤー判事が言い渡す予定で、クォン氏は最長25年の禁錮刑に直面している。ただし検察官のキンバリー・ラヴナー(Kimberly Ravener)氏によれば、同氏が自らの犯罪について責任を受け入れることを条件に、政府は12年以下の禁錮刑を求刑することに同意しているという。
クォン氏は、2022年の暗号資産価格急落で多くの企業が破綻したのち、連邦当局に起訴された暗号資産業界の有力者の一人である。
検察当局は、2021年5月に「TerraUSD」のペッグが1ドルを割り込んだ際、同氏が投資家に対し「テラ・プロトコル(Terra Protocol)」と呼ばれるコンピュータ・アルゴリズムが価値を回復させたと述べたと主張している。
しかし実際には、HFT(高頻度取引)を手がける会社に依頼して数百万ドル相当のトークンを秘かに買い支え、価格を人為的に押し上げたと検察は述べている。
検察によれば、こうした虚偽の主張などにより、個人投資家と機関投資家がテラフォーム・ラボのプロダクトを購入し、LUNAの価値(USTと密接に連動する、価格変動のあるより伝統的なトークン)の時価総額は2022年春までに500億ドルに達した。
法廷でクォン氏は自身の行為について謝罪した。
クォン氏は「私は、ペッグ回復の理由について、取引会社が果たした役割を開示しなかったために、虚偽かつ誤解を招く説明をしてしまった。私の行為は間違っていた」と述べた。
クォン氏は2024年、米証券取引委員会(SEC)と同氏およびテラフォーム・ラボが結んだ45億5,000万ドルの和解の一環として、8,000万ドルの民事罰金を支払い、暗号資産取引への関与を禁じられることに同意した。
同氏は昨年末にモンテネグロから米国へ身柄引き渡し後、勾留が続いている。
また同氏は韓国でも起訴されている。合意の一環として、検察はクォン氏が米国での刑期の半分を服役後に国外移送を申請した場合、反対しない方針だとラヴェナー氏は述べた。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Do Kwon pleads guilty to US fraud charges in $40 billion crypto collapse
(Reporting by Luc Cohen in New York; Editing by Chizu Nomiyama; Joe Bavier and Stephen Coates)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters
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