BRICが訴訟終結を報告

ステーブルコイン発行会社テザー（Tether）が、暗号資産（仮想通貨）レンディング企業セルシウス・ネットワーク（Celsius Network）の破産管財人に2億9,950万ドル（約442億円）を支払うことで和解した。デジタル資産回収を目的とする共同事業体「Blockchain Recovery Investment Consortium（BRIC）」が10月14日に発表した。今回の和解により、2024年から続いていた訴訟は終結する見通しだ。

BRICは、Atlas Grove Partners傘下のGXD Labsと、運用資産約1,617億ドル（約24兆円）を有する米資産運用会社ヴァンエック（VanEck）によるジョイントベンチャー。今回の和解は、2024年8月に米ニューヨーク南部地区破産裁判所に提起された訴訟に基づくものだ。

この訴訟は、セルシウスが2022年7月に破産申請を行う直前に実施した担保資産の移転や清算取引に関連して、破産法上の請求および関連請求を主張していた。

セルシウス側は当初、テザーが、10時間の待機期間の満了前に39,542BTCを不当に清算したとして、約43億ドル（約6,357億円）の損害賠償を求めていたが、今回の和解金額はその約7％にあたる2億9,950万ドル（約447億円）となる。2025年7月には、マーティン・グレン（Martin Glenn）判事がセルシウスの一部請求を認めていた。

なお、テザーはこれまで訴訟を「根拠がない」として一貫して不正行為を否定し、「セルシウスが自社の経営不備の責任を転嫁しようとしている」と主張していた。

2023年初頭に設立されたBRICは、セルシウスなど複雑な暗号資産破産案件の回収最大化を目的に活動している。

2024年1月にセルシウスの破産管財人および無担保債権者委員会（UCC）から「複雑資産回収マネージャー（Complex Asset Recovery Manager）」および「訴訟管理者（Litigation Administrator）」に任命された。

BRICのチームには、GXD LabsのR・クリスチャン・ワイアット（R. Christian Wyatt）氏とデービッド・プロマン（David Proman）氏、VanEckのプラナヴ・カナデ（Pranav Kanade）氏とマシュー・バビンスキー（Matthew Babinsky）氏が参加。

法的助言は、破産・再編分野で著名なクイン・エマニュエル・アーカート＆サリバン法律事務所（Quinn Emanuel Urquhart & Sullivan, LLP）が担当している。

BRICは現在もセルシウス破産財団の資産回収を継続しており、流動性の低い暗号資産や訴訟関連資産の管理を担当している。また、BRICは本件を「債権者への回収最大化に向けた重要な前進」と位置づけている。

テザー社CEOのパオロ・アルドイノ（Paolo Ardoino）氏はXにて、「テザーはセルシウス破産に関連するすべての問題で和解に達したことを嬉しく思う」とコメントした。

裁判所記録によると、セルシウスの元CEOアレックス・マシンスキー（Alex Mashinsky）氏は、商品詐欺およびCELトークン価格操作の罪を認め、2025年5月に懲役12年の判決を受けた。

米検察当局は、同氏が「暗号資産業界における最大級の詐欺の一つを画策した」と指摘している。

Tether is pleased to have reached a settlement of all issues related to the Celsius bankruptcy.

参考：発表
画像：Reuters

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