「ドル建てステーブルコインが欧州の通貨の自立性を脅かす」=ECB顧問

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NewEconomy JP 2 months ago 147

ECB顧問のドルステーブルコインについての見解

米ドルがステーブルコイン市場で「先行者優位」を確立したことで、最終的には欧州の借入コストが上昇し、欧州中央銀行(European Central Bank:ECB)の自律性が削がれ、対米地政学的依存が強まる恐れがあると、ECBの顧問であるユルゲン・シャーフ(Jürgen Schaaf)氏が7月28日に公式ブログで指摘した。

米ドル連動型ステーブルコインは近年急速に普及している。今月上旬にはドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、ドルの基軸通貨としての地位を固めることを狙いとした包括的な規制法に署名し、追い風となった。

シャーフ氏は、「米ドルがこのように支配的地位を得れば、米国は戦略面・経済面で優位に立ち、自国債務の資金調達をより低コストで行いつつ、世界に影響力を行使できる」と述べた。なおこの見解についてシャーフ氏は、必ずしもECB公式のものでないと断りを入れている。

また同氏は「欧州にとっては、米国に比べ資金調達コストが高くなり、金融政策の自由度が縮小し、地政学的にも依存度が高まる」とも付け加えた。

ドル建てステーブルコインがユーロ圏で決済・貯蓄・資金決済に広く用いられるようになれば、ECBが金融環境をコントロールする力が弱まる恐れがある、と同氏は警鐘を鳴らした。

ブログによれば、テザー(Tether)やサークル(Circle)が発行するドル連動型ステーブルコインが世界市場を席巻している一方、ユーロ建てステーブルコインの時価総額は3億5,000万ユーロ(約601億円)未満にとどまり、市場としては依然としてごくわずかだ。

このため欧州は迅速に行動すべきだとし、立法の遅れで停滞しているデジタルユーロ計画を前進させるとともに、ユーロ建てステーブルコインの創出を後押しすべきだとシャーフ氏は提言。さらに同氏は、安価で迅速な国際送金を実現するために分散型台帳技術(DLT)の活用を促進すべきだと論じている。

ブログでは「最後に、ステーブルコイン規制を巡る世界的な連携強化が極めて重要だ。共通のアプローチを欠けば、不安定化や規制裁定、そして米ドル支配の固定化を助長しかねない」と締めくくられている。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Dollar stablecoins threaten Europe’s monetary autonomy, ECB blog argues
(Reporting by Balazs Koranyi, Editing by Louise Heavens)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters

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