
ルーブル建てステーブルコインが7月に取引急増
ブロックチェーン分析会社エリプティック(Elliptic)が、ロシアの通貨ルーブル(RUB)に連動するステーブルコインの取引量が7月に急増し、累計で400億ドル(約6兆円)を超えたと7月28日に発表した。このステーブルコインはロシアが西側諸国の決済制限を回避する手段として活用している可能性がある。
2022年2月にウクライナへ侵攻したロシアに対する西側諸国の制裁の一環としてロシアの銀行が国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除されるなど、ロシアの貿易決済手段の選択肢は大幅に制限されている。このため、ロシアは国際決済の代替ルートを模索してきた。
ロシアの国防関連金融機関プロムスビャズバンクと決済企業A7はともに西側の制裁対象となっている。両社は外国貿易の決済手段にすることを目指し、今年1月にキルギスを拠点とする新たなステーブルコイン「A7A5」の市場投入を発表した。
エリプティックはA7A5について、ロシアの企業や個人が従来の金融システムを迂回して制裁を回避する上でますます効果的に機能していると述べた。米シークレットサービスは3月、ロシアの暗号資産取引所「ガランテックス(Garantex)」のオンラインインフラを摘発する際にエリプティックのデータと情報を活用した。
別のブロックチェーン分析会社TRMラボはA7A5を制裁回避に関与しキルギスに登録された暗号資産関連企業群の一部と位置付けている。こうした企業群はロシアが中国から民生用・軍事用に使用可能な「二重用途製品」を中央アジア経由で輸入していることにも関係している可能性があるという。
A7A5、プロムスビャズバンク、A7の各社はコメント要請にすぐには回答しなかった。
取引量の急増
プロムスビャズバンクは2024年末にA7を市場投入した際、このプラットフォームがロシア企業の円滑な国際決済を支援するだろうと述べ、中国でSWIFT(国際銀行間通信協会)を使わずにサービスや産品の支払いができると話した。
ステーブルコインであるA7A5は、ほとんどのロシアの銀行が提供できない国際決済を可能にする。ロイターは、A7A5に流入している資金の出所や送金の理由を独自に判断できなかった。
エリプティックの分析によると、A7A5を通じて現在1日当たり10億ドル(約1,482億円)超が取引されており、これまでの累計取引額は412億ドル(約6.1兆円)に達した。7月は取引量、流動性、流通トークン数が急増したという。TRMラボも同様の累計取引額を確認した。
エリプティックはA7A5の時価総額が需要急増により、2週間足らずで3倍となったと明らかにした。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
ルーブル連動型暗号資産、7月に取引急増で累計400億ドル突破=調査会社
画像:Reuters
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