ヴィタリック、イーサリアムのプライバシー強化フレームワーク「Kohaku」発表

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NewEconomy JP 3 hours ago 148

ヴィタリックがプライバシー重視のフレームワーク「Kohaku」発表

イーサリアム(Ethereum)の共同創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、イーサリアムエコシステムのプライバシーとセキュリティを強化する暗号ツール群「Kohaku(コハク)」を、アルゼンチンで開催されたイベント「Ethereum Cypherpunk Congress 2」のステージ上でライブデモを通じて11月16日に発表した。

この取り組みは、イーサリアム財団(Ethereum Foundation)と主要エコシステム関係者が主導するプロジェクトであり、ブロックチェーン開発においてプライバシーを中核目標とするブテリン氏の姿勢を改めて示すものだ。

ブテリン氏は「イーサリアムはユーザープライバシーの面でまだ遅れている。今は、最後の1マイルの段階にあり、より良い結果を出すために多大な努力を集中させる必要がある。セキュリティ面でも同様だ」と述べた。なおイーサリアムは「プライバシーのアップグレードの道」を歩んでおり、ブロックチェーン上の活動に現実世界のプライバシーとセキュリティを提供することを目指しているという。

Kohakuは、オンチェーンのプライバシーとセキュリティを高めることを目的としたオープンソースのイニシアチブだ。開発者が中央集権的な第三者に依存せず、安全でプライバシーに配慮したウォレットを構築できるようにするための「暗号プリミティブのモジュラーフレームワーク」を提供する。将来的には、ネットワークレベルの匿名性を実現するミックスネット(mixnets)や、ZK ($0.05)(ゼロ知識証明)技術を活用したブラウザなどのツールも取り込む可能性があるとのこと。

KohakuのGitHubページには、このプロジェクトが進行中であることが記載されている。現在、同リポジトリには、ユーザーが規制に準拠しながら資金を秘匿し「無実の証明」を提供できる「Railgun(レールガン)」や「Privacy Pools(プライバシープールズ)」などのプロトコル向けのソフトウェアパッケージが含まれている。例えば0xbowが開発した「Privacy Pools」は、悪意ある行為者による資金秘匿を防ぐため、「アソシエーションリスト(association list)」と呼ばれる仕組みを利用しているという。

11月16日のKohakuウォレットのデモでは、ユーザーがRailgunとの統合機能を用いて、公開されている資金をシールド(秘匿化)できる様子が紹介された。この取り組みの狙いは、メタマスク(MetaMask)やレインボー(Rainbow)など、イーサリアムに接続するあらゆるウォレットで「デフォルトでオプトイン可能なプライバシー」を提供することにある。ブテリン氏は「プライバシーは自由だ。それは、中央集権・分散型を問わず、あらゆる強制的な政治的・社会的主体に自分の行動がどう見られるかを常に心配せずに、自分のニーズに沿って生きるための空間を与えてくれる」と語った。

近年ブテリン氏は、プライバシーを基本的人権として認めるべきだと繰り返し主張しており、イーサリアム財団もプライバシー関連の研究開発を強化している。10月には、研究者・エンジニア・暗号学者47人から成る「プライバシークラスター(Privacy Cluster)」を立ち上げ、プライバシーをイーサリアムの「第一級のプロパティ」とすることに重点を置いている。また9月には、イーサリアム財団の「プライバシー・スケーリング・エクスプローレーションズ(Privacy & Scaling Explorations:PSE)」チームが「プライバシー・スチュワーズ・オブ・イーサリアム(Privacy Stewards of Ethereum)」へとリブランドし、新技術の“探索”から、具体的な課題解決に軸足を移す姿勢を示した。

同時期に、イーサリアム財団の研究者やブテリン氏ら主要開発者は「トラストレスマニフェスト(The Trustless Manifesto)」も公表している。このマニフェストは、システムの正しさと公平性を仲介者の善意ではなく、数学とコンセンサスのみに依拠させる「トラストレスな設計」の重要性を強調するものだ。マニフェストは、トラストレス性こそがイーサリアムの中立性を支える仕組みであり、スケールする過程でもその約束を手放してはならないと主張している。

同マニフェストは、トラストレスなシステムの中核要件として、セルフソブリンティ(各ユーザーが自らの行動を自分で承認できること)、検証可能性(誰もが公開データから実際に何が起きたかを確認できること)、検閲耐性(正当なトランザクションが、合理的な時間とコストでブロックに含まれること)に加え、一般ユーザーでも使えるアクセシビリティや、インセンティブ構造の透明性などを挙げている。また「ウォークアウェイテスト(walk-away test)」という概念も示されている。これは、あるオペレーターが消失や不正行為等をした場合、別のオペレーターが承認なしに介入できることを求めるものだ。

マニフェストではさらに、トラストレスな設計が従うべき3つの法則として「重要な秘密を持たないこと」「不可欠な仲介者を置かないこと」「検証不可能な結果を残さないこと」を掲げる。こうした要件は厳しく、構築できるシステムの幅を制約するが、その代わりに「構築されたものが、特定の誰かではなく誰にでも属することを保証する唯一の道だ」と説明されている。

また同マニフェストは、分散化が理論的にではなく実際に侵食されていると警告している。ホスト型RPCがデフォルトになっていること、多くのロールアップでトランザクション順序付けが設計上中央集権的であること、アップグレードキーが依然として存在することなどにより、仲介者への「信頼」への依存が徐々に広がっているという。マニフェストの署名者は、トラストレスなシステムを構築すること、仲介者への信頼に依存するインフラストラクチャを構築しないこと、そして中立性を外部委託しないことを誓約している。

参考:マニフェスト・Difiantインタビュー
画像:PIXTA

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