
減税と投資促進で成長循環目指す
楽天グループ会長の三木谷浩史氏が代表理事を務める経済団体「新経済連盟」が、2026年度税制改正提言を9月10日に公表した。
新経済連盟は、デジタル化や革新を軸として、産業構造・制度・政策の変革を促し、日本経済の競争力及び国民生活の向上を図ることを目的としている。
今回の提言は「税率を引き下げて日本経済を活性化し、税収を増やして再び国内投資へ」を基本理念とし、「税と成長の好循環」の実現に向けて三つの柱を示した。その中では、暗号資産に関する税制についても改正を求めている。
第一の柱となる「国内投資の促進」では、法人税・所得税・相続税の引き下げや研究開発税制の強化、AI開発・利活用支援、さらにはソフトウェア投資を後押しする新税制の導入を求められている。加えて、インフレ対応のため各種控除額や閾値の見直し、地方自治体間の改革競争を促す税制や、海外から地方への投資誘導策も盛り込まれている。
第二の柱は「スタートアップ支援と生産性向上」だ。エンジェル税制やオープンイノベーション促進税制の拡充、ストックオプション税制の柔軟化に加え、社会的投資減税の創設や寄附税制の見直しを提案。さらに、リカレント教育を後押しする仕組みや、国際人材の活用に向けた税制優遇、中小企業の納税環境整備、インボイス制度を活用したデジタル化促進なども具体策として示された。
第三の柱は「国内産業の競争力強化」である。企業再編を阻害しない法人課税体系への見直しを求めるほか、暗号資産税制については、暗号資産取引やデリバティブ取引の利益を申告分離課税(一律20%)の対象とし、損失の繰越控除を認めることが提案されている。
また新経連は今回の提言で、相続時の評価額を「相続開始日の時価」だけでなく「過去3か月の月平均時価のうち最も低い価額」を選択できるようにし、相続資産譲渡には株式同様の取得費加算特例を適用すべきとした。さらに、暗号資産同士の交換については交換の都度ではなく、法定通貨への換金時にまとめて課税する方式へ改めることを求めた。
寄附税制では暗号資産を非課税特例の対象に含める見直しを提案し、税制以外にもETFでの取扱いやレバレッジ規制の柔軟化を要望した。
また、越境経済への対応として、海外デジタルプラットフォーム事業者に決算と法人税納税状況の公表を義務付ける等、国際的な課題にも言及している。
新経済連盟は今回の提言を通じて、日本経済が「仮想経済」と「実物経済」の双方で成長を遂げるための税制改革を訴えている。
参考:2026年度税制改正提言
画像:iStock/maybeiii
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