
ガイドライン策定まで一時停止へ
韓国の金融委員会(FSC)が、国内の暗号資産(仮想通貨)取引所に対し、ガイドライン策定まで融資サービスの提供を一時的に停止するよう8月19日に命じた。これは、投資家の損失や市場混乱のリスクが高まっていると判断されたためだ。
韓国ではここ数か月のうちに、アップビット(Upbit)やビッサム(Bithumb)をはじめとする主要取引所が、保有資産やウォンを担保に暗号資産を借り入れできるサービスを相次いで展開していた。
FSCは発表にて、こうしたサービスが「法的にグレーゾーンにある」と指摘し、十分な投資家保護措置がないまま高リスクサービスを継続して運営することで、利用者被害や健全な取引秩序の侵害に関する指摘が絶えず提起されていると報告している。
FSCによると、ある取引所が融資サービスを開始してから1か月で約2万7,600人が総額1.5兆ウォン(約1,582億円)を借り入れ、そのうち13%が価格変動によって強制清算されたという。
さらに、テザー(Tether)社発行の米ドルステーブルコインUSDT ($1.00)(テザー)を担保にした融資が始まると、売り注文が急増。取引所内でUSDT価格が異常に下落。国内市場では一時的に「テザー・プレミアム」がプラスからマイナスに転じる現象も見られたという。
ガイドライン策定までの暫定措置
このような事態を受けて、FSCは取引所に対する行政指導として、ガイドラインが策定されるまで、融資サービスの新規営業停止を求めている。ただし既存契約に基づく返済や満期延長は認められる。FSCは、行政指導に従わない取引所には現場検査を行う可能性もあるとしている。
SFCは今後、投資家保護と市場の明確化を目的に、暗号資産融資サービスに関するガイドラインを速やかに策定する方針だ。
ガイドラインの策定後は、取引所に対し、ガイドラインで定められた範囲内で暗号資産融資サービスの新たな営業を再開するよう促すとのことだ。
政策転換の流れ
今回の措置は、投資家保護と暗号資産市場の制度化の間でバランスを取ろうとする韓国当局の姿勢を反映している。FSCは7月にも取引所に自主的な見直しを要請していたが、投資家被害や規制の不透明さが課題として残っていた。
李在明(イ・ジェミョン)政権は最近、暗号資産により友好的な姿勢を示しており、機関投資家による取引制限を段階的に解除している。また、国内初となる現物型暗号資産ETFの承認準備も進めており、さらにはウォンに連動するステーブルコイン市場の構築にも取り組んでいることが報じられている。
参考:発表
画像:PIXTA
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