a16zがジトに出資
大手ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz:a16z)の暗号資産(仮想通貨)部門a16z Cryptoが、ソラナ(Solana)基盤のDeFi(分散型金融)プロトコル「ジト(Jito)」に5,000万ドル(約74.9億円) を投資したと10月16日に発表した。
この投資の対価として、同社はジトの暗号資産の割当を受けたと、同プロトコルの主要組織の一つであるジト財団(Jito Foundation) のエグゼクティブ・ディレクター、ブライアン・スミス(Brian Smith) 氏が述べた。
スミス氏によれば、この取引はa16zとジトとの間の「長期的な利益一致」を促すものであり、単一の投資家によるジトへのコミットメントとしては過去最大だという。
またスミス氏は、「しばらく売却できないといった条件で長期的な利益一致を受け入れるのであれば、慣例的に一定の割引が付く」と付け加えたが、取引の詳細は明かさなかった。
トークン購入を伴う取引、つまり投資家が市場で流通していない暗号資産をまとめて購入するケースは、暗号資産業界では一般的だ。デジタル資産分野で最も活発な投資家の一つであるa16zは、過去1年でこうした購入を複数回行っている。
たとえば、4月にはレイヤーゼロ(LayerZero) の暗号資産に5,500万ドル(現在レートで約82.4億円)、6月にはアイゲンレイヤー(EigenLayer) のトークンに7,000万ドル(約104.9億円)をa16zは投じている。
ジトは業界通の投資家やトレーダーを除けば一般的な知名度は高くないが、人気の高いブロックチェーンであるソラナのインフラにおける重要な構成要素である。スミス氏は「われわれはソラナの成長と緊密に結びついている」と語った。
ブロックチェーンは、分散型クラウドコンピューティング のネットワークにたとえられる。互いに独立したサーバーがデータを計算し、トランザクションを処理する。これらのサーバー(暗号資産の世界では「バリデータ(validator)」と呼ぶ)がトランザクションの捏造や不正を行わないよう動機づけるため、しばしばネットワークの暗号資産を一定量エスクロー(担保預託)に置く必要がある。開発者はこの仕組みを「ステーキング(staking)」と呼ぶ。
いわゆる プルーフ・オブ・ステーク(Proof-of-Stake:PoS) 型のブロックチェーン(例:「イーサリアム(Ethereum)」)では、バリデータはトークンをステークする見返りに利回り(報酬)を得るが、不正を行えばペナルティによりステーク資産の一部を失う。
ブロックチェーンはしばしば大量のステークを求めるため、トークン供給の相当部分がロックされうる。リキッドステーキング は、ソラナ向けのジトのように、エスクロー中のステーク資産を実質的に取引可能にする仕組みである。さらにジトは、ソラナ上で自分たちのトランザクションの処理優先度(スピード)を調整できる機能も提供している、とスミス氏は付け加えた。
※この記事は「あたらしい経済」がロイター経由でフォーチュンからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Andreessen Horowitz’s crypto arm invests $50 million in Solana staking protocol Jito
(Reporting By Ben Weiss)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Fortune via Reuters Connect
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