
暗号資産税制の抜本見直しを要望
日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は、2026年度税制改正に関する共同要望書を7月30日に金融庁へ提出した。
要望書には「申告分離課税」、「寄附に係る税制の明確化と合理化」、「評価・取得費に関する整備」、「 暗号資産同士の交換への課税タイミングの見直し」、「税制区分の見直し」の5つの主要な提言が含まれている。
まず所得税については、暗号資産取引を20%の申告分離課税とし、損失繰越控除を3年間適用できるよう求めた。
また、分離課税の範囲は暗号資産の種類やウォレットの種類によって区分せず、現物取引とデリバティブ取引の双方を対象とすることとした。
次に、寄附に係る税制については、現行の所得税法を暗号資産に形式的に適用することをやめ、暗号資産による寄附を阻害しない合理的な制度とすることを求めている。
資産税については、相続した暗号資産を譲渡した際の所得について取得費加算の特例の対象とすること、さらに相続財産評価においては過去3ヶ月の平均時価のうち最低額を選択可能とすることを提案した。
加えて、暗号資産同士の交換に関しては、交換時点では課税をせず、法定通貨に変換された時点で一括課税する仕組みへの見直しも求めた。
また、雑所得以外にも新たな所得区分の可能性を明示するなど、税制区分そのものの見直しも要望している
両協会は、Web3は仲介者を介さず価値を共創・交換できる「価値のインターネット」として急速に発展しているが、現行税制は利用を躊躇させる障害となっていると指摘。米国が暗号資産政策を転換する中、日本も国際競争力を強化するため、暗号資産を株式などと同等の金融資産として中立的な税制を適用する必要があるとした。分離課税導入など令和7年度税制改正大綱の方向性を踏まえ、ウォレット取引を阻害しない制度設計を求めている。
金融庁、暗号資産制度改正議論へ向け主要論点整理
金融庁は7月30日、暗号資産の法改正に向けたディスカッション・ペーパーを取りまとめ、金融商品取引法の改正に関する主要論点を整理した。内容には、暗号資産のリスクや発行条件に関する情報開示の強化、インサイダー取引への対応などが含まれる。
このペーパー「暗号資産に関する制度のあり方等の検証」は4月10日に公表され、5月10日までパブリックコメントが募集された。期間中には40件の意見が個人および団体から寄せられた。
規制見直しにあたり、利用者保護とイノベーションの両立を理念とする柔軟な制度設計が期待されている。意見としては、「国内開発者が海外投資家向けにDeFiサービスを提供する事業を外貨獲得手段として後押しすべき」「規制強化が過剰になるとWeb3ビジネスが国外流出し、日本の競争力が低下する」「レバレッジ規制や海外との税制ギャップが投資家流出と無登録業者利用を助長している」といった意見が寄せられている。
参考:発表・金融庁1、金融庁2
画像:PIXTA
関連ニュース
- JBA、「暗号資産に関する税制改正要望(2026年度)」を政府に提出。分離課税導入など5項目を提言
- JBAが「暗号資産に関する税制改正要望(2025年度)」を政府に提出、申告分離課税・損失繰越控除など盛り込む
- 自民党が「web3ホワイトペーパー2024」策定、暗号資産取引の申告分離課税の検討やレバレッジ倍率等に提言
- 金融庁、ステーブルコインの分析調査報告書を公開。リスク評価や課題も
- 金融庁、暗号資産を2類型に分けた規制検討を提案












24h Most Popular






Utilities