
警告で決着、上場は維持へ
米ナスダック上場のTON ($1.89)ストラテジー(TON Strategy)が、トンコイン(TON)の購入に関する規則違反を理由にナスダック(NASDAQ)から警告を受けた。TONストラテジーが10月28日に米証券取引委員会(SEC)へ提出した報告書「Form 8-K」によって明らかになった。
報告書によると、TONストラテジーは8月7日、特定の投資家との間で第三者割当増資(PIPEファイナンス)を実施。この取引で普通株式およびプレファンド型ワラントを発行したが、事前に株主承認を得ていなかったことをナスダックが問題視した。
また、取引の完了日に経営陣と取締役会の構成に大きな変更があり、新たに会長が就任。その会長は、関係会社のキングスウェイ・キャピタル・リミテッド・パートナーズ(Kingsway Capital Limited Partners)を通じて、約19.99%の株式と議決権を取得した。ナスダックはこれを実質的な経営権の移転とみなし、株主承認が必要だったと判断した。
さらに、ナスダックは7月31日にTONストラテジーの子会社が締結した、総額約2億7,270万ドル分のトンコイン購入契約についても、必要な株主承認を得ていなかったと指摘した。
この購入はPIPE取引の成立を前提としており、全体の約48.78%がトンコイン取得に充てられていた。これはPIPEファイナンス前の発行済み株式数の数倍に相当するため、ナスダック上場規則5635(a)に基づき株主承認が必要とされた。この規則では、発行株式が発行前の普通株式数または議決権の20%以上となる場合、資産取得を伴う取引について事前の株主承認を義務付けている。
一方でナスダックは、違反はあったものの、TONストラテジーが意図的にコンプライアンスを回避したわけではないと判断。そのため、上場廃止などの厳しい処分は科さず、警告書の発行によって本件を終結することを決定した。
TONストラテジーは、暗号資産TONに特化した財務資産(トレジャリー)戦略への転換を進めており、9月に旧社名のヴァーブ・テクノロジー・カンパニー(Verb Technology Company:VERB)から現名称へ変更した。これに伴い、ティッカーシンボルも「VERB」から「TONX」へ変更され、ナスダック・キャピタル・マーケットでの取引を開始している。
ヴァーブ・テクノロジー・カンパニーは、ソーシャルコマースやAIビデオマーケティング技術を展開していた企業で、AIライブショッピングプラットフォーム「MARKET.live」など複数の事業を運営していた。これらの事業はTONストラテジーに引き継がれるという。
同社は8月4日、キングスウェイ・キャピタルとの提携を発表。上場型TONトレジャリー戦略企業を設立するため、総額5億5,800万ドル(約856.8億円)のPIPE取引を実施した。取引は8月7日に完了し、8月3日付契約に基づき普通株式およびプレファンド・ワラントが発行された。
さらにTONストラテジーは9月、普通株式を最大2億5,000万ドル(約370億円)分まで買い戻す計画を発表。株価が純資産価値(NAV)を下回る場合は自社株買いを行い、割高な場合は新株発行で得た資金をトンコイン購入に充てる方針を示している。
参考:Form 8-K
画像:iStock/Anastasiia-Makarevich
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