
中銀の反対姿勢から方針転換か
韓国金融委員会(FSC)が、国内金融業界以外の企業に対し、韓国ウォン(KRW)に連動したステーブルコインの発行を認める方向で検討を進めていると、韓国メディアDLニュース(DL News)が複数の業界関係者の話として11月20日報じた。
報道によれば、FSCは金融業以外の企業にもステーブルコイン発行を認可する案を真剣に検討しているが、一部の関係者からは、技術力を持つ大手テック企業やフィンテック企業が参入することで「銀行の競争力が低下する」との懸念が示されているという。
これにより、韓国では銀行とテック企業の間で、IT主導の新たな競争環境が生まれるとの見られている。
韓国政府は、主要企業および大手銀行によるウォン連動ステーブルコインの発行に前向きな姿勢を示している。
今年6月の大統領選で当選した李在明(イ・ジェミョン)大統領の政策の柱の一つには、2025年後半をめどにウォン建てステーブルコインの禁止を解除するための規則整備が含まれている。
李大統領は、国内資本の流出を防ぐには、韓国ウォン建てのステーブルコイン市場を確立することが不可欠との立場を示している。
これまでは、韓国銀行(BoK)が、非金融企業によるコイン発行に反対姿勢を示し、法改正の進展が遅れていた。韓国では2019年に暗号資産およびステーブルコインの発行が禁止されているが、現在は政府と規制当局が足並みを揃え、国会での承認を目指している。
韓国の大手銀行は、ビッグテックによるステーブルコイン発行について公式には慎重姿勢を崩していない。ある大手銀行関係者は「まだ議論段階で、不確実性が大きい」とし、現時点で競争への影響は判断できないと述べたという。
別の銀行関係者も「ウォン連動ステーブルコイン発行には安定性とイノベーションが不可欠だ」と指摘。「金融セクターの競争構造が大きく変わるとは考えていない」との考えを示している。
さらに別の関係者は、仮に政府が暗号資産を金融システムに組み込む方針を固めた場合でも、銀行はマネロン対策やカストディ、決済などで不可欠な役割を担うため、ビッグテックのステーブルコイン事業に参画する必要があると主張している。
現在、韓国国内ではステーブルコイン関連の動きが活発化している。
6月にはKB国民銀行やカカオバンク、カカオペイがステーブルコイン関連の商標権を出願した。
8月には、新韓金融グループ、ハナ金融グループ、KB金融グループ、ウリィ銀行のトップらが、大手ステーブルコイン発行企業であるテザー(Tether)社および米サークル(Circle)社と会合を行ったことが報じられている。
これら銀行ははいずれもステーブルコインや暗号資産関連のタスクフォースや事業部門を立ち上げている。
また、国際送金、カストディ、ブロックチェーンを活用した資金調達など、幅広い用途でステーブルコインの活用を検証しているという。
参考:報道
画像:PIXTA
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