統一アジェンダ公表で前政権下の規制案を撤回
米行政管理予算局(OMB)傘下の規制情報局(OIRA)が「2025年春季統一アジェンダ(Unified Agenda of Regulatory and Deregulatory Actions)」を公表。米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス(Paul S. Atkins)委員長は同日、これに関する声明を9月4日に発表した。
同アジェンダには、暗号資産の募集・販売に関連する規則案が含まれ、暗号資産の規制枠組みを明確化する方針が示されている。
アトキンス委員長は、同アジェンダが「イノベーション支援、資本形成、市場効率性、投資家保護」への委員会の新たな重点を反映するものだと述べた。
またアトキンス委員長は、優先事項として、悪質な行為者の抑止を継続しつつ、暗号資産の発行・カストディ・取引に関する「明確なルール」を整備することを挙げている。この方針は、同氏がSEC委員長に就任した当初から貫いている姿勢だ。
あわせて、コンプライアンス負担の軽減と資本形成の促進を目的とする規制緩和の構想も示された。資金調達経路の簡素化や、非公開企業への投資家アクセスの拡大などが論点となる。既存規則の見直しによる改善・近代化や開示負担の扱いも議題に含まれる。
今回のアジェンダには前バイデン政権下で提案された多数の項目を撤回する姿勢が反映されている。これについてアトキンス委員長は、規制は「賢明で効果的であり、法的権限の範囲内で適切に調整されるべき」との目標と整合しないためだとした。
米国のイノベーション推進へ
トランプ大統領に政権交代して以降、米国における暗号資産規制は整備されつつある。
アトキンス委員長指揮の元、SECは規制の見直しや米国金融市場のオンチェーン化を進める「プロジェクト・クリプト(Project Crypto)」を開始。
商品先物取引委員会(CFTC)も「クリプト・スプリント(Crypto Sprint)」を始動させ、大統領デジタル資産市場作業部会(PWG)の報告書「デジタル金融技術における米国のリーダーシップ強化:Strengthening American Leadership in Digital Financial Technology」に基づく推奨事項を実行に移している。
参考:発表
画像:PIXTA
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